生前贈与の持ち戻し期間の延長について、いつから7年になるのか、孫への贈与も対象になるのか気になる方は多いでしょう。
暦年課税による生前贈与の持ち戻し期間は、2023年度税制改正により3年から7年に延長されました。2027年に一斉に7年となるわけではなく経過措置を経て、2031年以降の相続から、相続開始前7年以内(相続開始の7年前まで)の贈与を加算対象とする「生前贈与7年ルール」が適用されます。
本記事では、2027年以降の経過措置の内容、年間110万円以下の贈与でも相続税に加算される条件、孫への生前贈与が持ち戻しの対象になるケースを、国税庁の資料をもとにお伝えしていきます。

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2027年から生前贈与の持ち戻し期間が3年から7年へ段階的に移行
2023年度税制改正により、暦年課税による生前贈与の持ち戻し期間は3年から7年へ延長されました。ただし、2027年(令和9年)に一斉に切り替わるわけではありません。
改正は2024年1月1日以後の贈与に適用され、2027年以降に発生する相続から加算期間が段階的に延び、2031年以降の相続で「生前贈与7年ルール」となります。
生前贈与の7年ルールとは

生前贈与の7年ルールとは、相続や遺贈などで財産を取得した人が、被相続人から相続開始前の一定期間内に暦年課税による贈与を受けていた場合、その贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する制度です。
「持ち戻し」と呼ばれますが、贈与した財産そのものを返還するわけではなく、贈与時の価額を相続税の課税価格へ加算するという意味です。
2027年以降は何が変わるのか
制度改正の適用が始まったのは2024年であり、2027年からは相続税の計算に段階的に影響を及ぼします。
| 相続開始日 | 生前贈与の加算対象期間 |
| 2026年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 2027年1月1日~2030年12月31日 | 2024年1月1日から相続開始日まで |
| 2031年1月1日以降 | 相続開始前7年以内 |

出典:国税庁「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」
2024年1月1日から相続開始日まで、2031年以降は相続開始前7年以内を加算対象期間としています。
「2027年から過去7年分が持ち戻される」わけではなく、2027年以降経過措置により移行していきます。
2027年以降の生前贈与3年から7年への経過措置
2027年以降、加算対象期間は以下のように少しずつ長くなります。
| 相続開始年 | 相続財産に加算される生前贈与の対象期間 |
| 2027年中の相続 | 2024年1月1日 ~ 相続開始日まで |
| 2028年中の相続 | 2024年1月1日 ~ 相続開始日まで |
| 2029年中の相続 | 2024年1月1日 ~ 相続開始日まで |
| 2030年中の相続 | 2024年1月1日 ~ 相続開始日まで |
| 2031年以降の相続 | 相続開始前7年以内 |
例えば、2027年12月31日に相続が開始した場合、加算対象となるのは2024年1月1日以後の贈与です。実質的な加算期間は約4年であり、7年間ではありません。
2031年1月1日以降に相続が開始すると、相続開始前7年以内の暦年贈与が対象となり、「生前贈与7年ルール」が適用されます。
生前贈与の7年ルールと、基礎控除110万円の注意点
暦年課税・相続時精算課税ともに、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計額が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。
しかし、「年間110万円以下なら相続税にも影響しない」というわけではありません。加算対象期間内の暦年贈与は、贈与税の課税にかかわらず相続財産へ加算されます。
例えば、親から子へ毎年110万円を贈与していた場合でも、その子が親の相続で財産を取得すれば、相続開始前7年以内の贈与が加算対象になる可能性があります。
| 年間110万円以下なら、原則贈与税の申告・納税は不要 ただし、相続開始前の加算対象期間に含まれる 贈与は相続税の計算に加算される 「贈与税が非課税」と「相続税への持ち戻しがない」は別の問題 |
孫への生前贈与も7年以内なら持ち戻されるのか
孫への生前贈与は、必ずしも7年持ち戻しの対象になるわけではありません。
生前贈与加算の基本的な対象者は、被相続人から相続、遺贈または一定の相続時精算課税による贈与などによって財産を取得した人です。よって、孫が暦年贈与を受けただけで祖父母の相続時に何も取得しなければ、原則としてその贈与は相続税における生前贈与加算の対象になりません。
一方、以下のケースでは加算対象になる可能性があります。
| 代襲相続人として財産を相続した孫 遺言によって財産を取得した孫 死亡保険金などのみなし相続財産を取得した孫 相続時精算課税を選択している孫 |
したがって、必ずしも「孫への贈与なら生前贈与7年ルールを回避できる」わけではありません。遺言や生命保険の受取人指定を含め、相続時に孫が財産を取得するか、確認する必要があります。
まとめ
生前贈与7年ルールでは、持ち戻し期間が3年から7年へ、2027年以降の経過措置を経て段階的に延び、2031年以降の相続から相続開始前7年以内が加算対象になります。年間110万円以下の贈与も、該当する期間内であれば相続税の計算に加算され、孫への生前贈与も代襲相続や遺言による財産の取得などがある場合は7年以内の持ち戻し対象です。
暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶかで、贈与税と将来の相続税の負担は変わります。生前贈与を実行する前に、相続税・贈与税に詳しい税理士へ試算を依頼してみることをおすすめします。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、通算申告から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

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