デジタル遺言とは?法務省の制度3つを紹介!公正証書遺言など手続きのオンライン化が進行

「デジタル遺言アプリで遺言書を作れる?」「民間のサービスは費用がかかる。公的な制度は無いの?」といった疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
スマートフォンやPCが日常に浸透する中で、遺言書のデジタル化への関心は高まっています。しかし2026年4月時点で、アプリで作成した電子データには原則として遺言書として法的効力がありません。
一方で、法務省はデジタル遺言に向けた制度整備を進めています。
公証役場での手続きがオンライン化された公正証書遺言(2025年10月開始)、「保管証書遺言」の創設案、そして一部法務局での自筆証書遺言書保管制度のオンライン試行など、遺言書をめぐる手続きのデジタル化施策が進行しているのです。

今回はデジタル遺言の概要と法務省が進める3つのデジタル遺言制度を解説します。

デジタル遺言は、法務省の制度と民間のオンラインサービスで作成した遺言書

一般的にデジタル遺言とは、①法務省など公的なデジタル遺言の制度で作った遺言書、②民間の遺言書作成アプリ、オンラインの作成補助ツールなどサービス全般で作成した遺言書の総称として使われています。
ご自身で「デジタル遺言」を電子データとして保存している方も、いらっしゃるかもしれません。

2026年4月現在、遺言書は自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類いずれか一定の要件下のもと書面で作成したもののみ、法的な効力があります。
エンディングノート・アプリや動画などは、基本的に法的拘束力がありません。
ただし、アプリで作成した内容を紙に書き自筆証書遺言として保管すると、遺言書として法的効力が生じます。
そして、電子データや電子署名は、法制審議会で要綱案が決定(2026年1月20日)され、同年4月3日に民法等の改正法案として閣議決定・国会提出された民法改正案が成立した際には、一定の要件を満たすと認められる可能性があります。

今回は法務省のデジタル遺言制度について、①デジタルを活用した保管証書遺言の新設と自筆証書遺言の改正案、②2025年10月開始の公正証書遺言の作成手続きデジタル化、③自筆証書遺言書保管制度のオンライン手続きを試行(一部の法務局のみ)の3つをお伝えしていきます。

法務省のデジタル遺言制度3つを紹介

法務省はデジタル遺言制度(遺言のデジタル化)には2026年4月現在、主に以下3つの施策があります。

1.遺言書全文のPC作成等ができる民法改正の要綱案が決定・国会に法案提出(2026年4月)2.2025年10月から公正証書遺言の作成手続きがデジタル化
3.法務局の自筆証書遺言書保管制度のオンライン手続きを試行(一部の法務局のみ)

1.遺言書全文のPC作成等ができる民法改正の要綱案が決定・国会に法案提出(2026年4月)

法制審議会民法(遺言関係)部会では、2024年4月から遺言制度の見直しを審議しており、2026年1月20日には「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」が決定しました。

要綱案にはデジタル技術を活用した「保管証書遺言」が創設され、自筆証書遺言の仕組みも見直されます。

改正案を含む自筆証書遺言と、新設される保管証書遺言をあわせて見てみましょう。

項目自筆証書遺言(改正案含む)保管証書遺言(新設)
作成方法遺言者が全文、日付、氏名を自書 財産目録は全ページに署名・押印することでPC作成可能遺言書全文についてPC作成の電子データ(電磁的記録)、電子署名が可能となる ただし遺言書全文を、遺言書保管官の前で口述しなくてはならない ※口述できない人は代替措置あり
デジタル活用財産目録を除き、手書き必須電磁的記録による作成や、ウェブ会議を通じた口述・本人確認が可能に(遺言書保管官に認められた場合)
署名・押印署名が必要。なお、目録等の押印要件は廃止の方向署名、または電子署名等の法務省令で定める措置を講じる
保管・効力遺言者自身などが保管。法務局に預けることもできる遺言書保管所(法務局)での保管が効力発生の要件
本人確認特になし 法務局に遺言書を預ける場合は、所定の手続きが必要申請人からの申出があり、申出を遺言書保管官が相当と認める時にはウェブ会議での本人確認が行われる 対面も可能
家庭裁判所の検認相続開始後、家庭裁判所での検認が必要 法務局に保管されている場合は検認不要遺言書保管所に保管されているため、検認は不要

保管証書遺言は、遺言書全文をPCで作成し電子データとして保管できますが遺言書全文を、遺言書保管官の前で口述しなければいけません。ウェブ会議での本人確認は、申請人からの申出があり、遺言書保管官がその申出を相当と認める場合にのみ行われます。

申請人が、一定の環境化で顔写真付きの本人確認資料(マイナンバーカードなど)を提示または提供することで本人確認を実施します。

遺言書は利害関係者が不正をはたらく恐れがありますので、厳格な本人確認が行われるのです。

ざっくり言うと、保管証書遺言は「安全・確実だが手続き必須」、自筆証書遺言は「手軽だがなりすましや改ざんなどのリスクあり」というイメージです。

2.2025年10月から公正証書遺言の作成手続きがデジタル化

2025年10月から公正証書遺言の作成の手続きがデジタル化されました。公正証書の作成手続きが、紙と対面からオンライン中心となります。

出典:法務省「公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化の概要

改正前は、申請者は公証役場に赴き申請し印鑑証明書などで本人確認を行い、紙の書面に署名・押印する必要がありました。改正後はインターネットから申請できるようになり、マイナンバーカードなどを用いた電子的な本人確認が可能となっています。

公証人による意思確認や内容チェックも、一定の条件のもとではウェブ会議を利用できます。公正証書も原則として電子データで作成・保存され、当事者はオンライン上で内容を確認し、電子署名によって手続きができます。

完成した公正証書は紙だけではなくデータで受け取ることも可能です。

3.法務局の自筆証書遺言書保管制度、一部の地域でオンライン手続きを試行

自筆証書遺言書保管制度では、一部の法務局でオンライン手続きが試行されています。

出典:東京法務局「遺言書保管制度のオンライン手続の試行を実施中です!

「保管書類の事前チェック」は、遺言書や申請書、添付書類の写しをPDFや画像データとして電子メールで送信することで、形式面の不備などをあらかじめ確認してもらえます。

変更届出については、遺言者や受遺者、遺言執行者などの住所や氏名の変更に関する届出を一定の要件を満たした際に、電子メールで行うことが可能となっています。

なお、オンライン対応は全国一律ではなく、事前チェックは一部の法務局、変更届出のメール提出は東京法務局本局で試行的に実施されている点に注意しましょう。

まとめ

法務省が進める遺言のデジタル化は、①保管証書遺言の新設を含む民法改正案の閣議決定・国会提出(2026年4月)、②2025年10月からの公正証書遺言手続きのオンライン化、③一部法務局での自筆証書遺言書保管制度のオンライン試行、の3つが主な柱です。現時点ではアプリや電子データのみで法的に有効な遺言書を作ることはできませんが、制度整備が進んでいます。


遺言書の作成とあわせて、相続税や贈与税の対策も早めに検討しておくことが重要です。

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監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、通算申告から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

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