2026年税制改正大綱が公表されました。相続税の貸付用不動産の評価方法が見直され課税時期前5年以内に対価をともなう取引により取得・新築をした一定の貸付用不動産については課税時期における通常の取得価額に相当する金額で評価することとする改正が検討されています。
また、教育資金一括贈与の非課税措置が終了する一方で、事業承継税制は延長されます。今回の記事では、税制改正大綱の相続税・贈与税関連の主なトピックスを解説していきます。

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相続税:貸付用不動産の評価方法の見直し
貸付用不動産の市場価格と通達評価額とのかい離を利用し、相続税・贈与税を節税する事例が把握されている事態が相次いでいることから、評価方法の見直しが検討されています。
これまでの経緯について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
具体的には、被相続人(亡くなった方)などが課税時期前5年以内に対価をともなう取引により取得・新築をした一定の貸付用不動産については、課税時期における通常の取得価額に相当する金額で評価します。
この改正は、2027年分以後に適用される予定です。
贈与税:教育資金一括贈与の贈与税非課税措置は2026年3月末まで
教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは、祖父母などから30歳未満の子・孫へ、教育資金を一括贈与した場合に受贈者1人につき最大1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。
この非課税措置については、昨年の税制改正大綱でも廃止が言及されてきましたが、利用実態や格差固定化の懸念、教育費の無償化による負担軽減などを踏まえ、2026年4月以降は延長しないことになりました。
2026年3月末までは利用できますので、利用したい方は早めに検討しましょう。
個人版・法人版事業承継税制の延長
個人版・法人版事業承継税制は時限措置ですが、一部の措置が延長されます。
| 事業承継税制(時限措置)の延長 | 個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、個人事業承継計画の提出期限が現行2026年3月末まで→2028年9月末までに延長 非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予の特例制度は、特例承継計画の提出期限が現行2026年3月末まで→2027年9月末まで延長 |
相続税対策、教育資金一括贈与は早めに専門家に相談を
2026年税制改正大綱では、貸付用不動産の相続税評価見直し、教育資金一括贈与の非課税措置の終了などが決定されました。
相続税対策として賃貸マンションの購入を検討されている方は、やり方を変更する、2026年度にマンションを購入するなどの対応が必要となります。
教育資金一括贈与の非課税措置を希望する場合は、2026年度3月末までに実行しなければならず早めの行動が必要です。
相続や贈与を検討されている方は、早めに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

事務所のある沖縄県と関東を中心に、日本国内はもちろん、国外居住の方まで幅広く対応しております。相続税の申告や手続き、事業承継、第三者承継、国際相続まで、多様なご相談に対応可能です。
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