毎年12月中旬、税制改正のたたき台である「税制改正大綱」が発表されます。
今年は「年収○万円の壁」について、自由民主党・公民党と国民民主党の間で意見がまとまらず発表が20日にずれ込みました。
年収の壁については「178万円を目指す」としながらも、基礎控除10万円・給与所得控除10万円の引き上げで123万円であることが明記されています。
相続税・贈与税についてはどうなっているのでしょうか?税制改正大綱に記された5つの改正案を見てみましょう。
このページの目次
2025年度税制改正大綱、相続税・贈与税関連
2025年度の税制改正大綱で、相続税・贈与税関連の事項は5つです。
1つずつ見ていきましょう。
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限を2年延長する |
出典:自由民主党ホームページ「令和7年度税制改正大綱」より(以下同様)
「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」とは、18歳以上50歳未満の方が、結婚・子育て資金に充てるため、祖父母や父母といった直系尊属から贈与を受けた場合などに一定の方法で受け取ると1,000万円までの金額に相当する部分の価額が非課税になる制度です。
2025年3月31日までの措置でしたが、2年延長となり2027年3月31日までとなります。
2)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度における営農困難時貸付け及び山林に係る相続税の納税猶予制度における特例 山林の経営委託の適用を受けることができる事由に、介護医療院へ入所したことを加える |
(2)は、山林について相続税の納税猶予の特例の適用を受けている者が、障害・疾病などの理由で経営が困難な状態となった場合に一定の者に委託した時は納税猶予の特例が適用される措置について「介護医療院への入所」を加えることになりました。
2025年度税制改正大綱、事業承継関連
続いては事業承継に関する贈与税の改正案です。
3)個人の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度における事業従事要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特定事業用資産に係る事業に従事していたこととする 4)非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例制度における役員就任要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特例認定贈与承継会社の役員等であることとする 5)(注)上記(3)及び(4)の改正は、2025年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する |
個人版事業承継税制における事業従事要件、法人版事業承継税制の特例措置における役員就任要件について見直しについて行われました。
税制改正大綱ではこの改正について「本措置は、中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上という待ったなしの課題を解決するための極めて異例の時限措置であることを踏まえ、適用期限は今後とも延長しない」としつつ、「事業承継による世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念も踏まえ、事業承継のあり方については今後も検討する」と述べています。
まとめ
税制改正大綱の内容は、全てそのまま反映されるわけではありませんが、今後の参考にチェックしておきましょう。特に今後結婚する子どもや孫に贈与をする予定の方、事業を営んでいる方には影響があるのではないでしょうか。
税制改正を含め、税金について疑問・不安がある方は税理士への相談をおすすめします。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。