自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらが良い?違いとメリット・デメリットを解説

遺言書を元気なうちに準備する場合、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。

自筆証書遺言は、自分で作成できますが不備があると無効になってしまう恐れがあり、公正証書遺言は公証人が作成するため不備の可能性が低いものの手間とコストがかかるというデメリットがあります。

自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらが良いのでしょうか?違いとメリット・デメリット、注意点を解説していきます。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、メリット・デメリット

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いとそれぞれのメリット・デメリット、注意点を見ていきましょう。

 自筆証書遺言公正証書遺言
概要自身で全文を書く。 ※財産目録は、パソコンで作成可能公証人が遺言者の話を聞き、作成する
費用無料 法務局に保管を依頼する場合は別途手数料が必要手数料が必要。手数料は財産価額によって異なる
保管場所自宅または法務局公証役場で原則20年間保管
メリット遺言者が作成したい時に自由に作成できる 公正証書遺言に比べ、作成の費用がかからない公証人のアドバイスを受けながら作成できる 不備の可能性が低い 公証役場で保管されるため、改ざんの心配が無い
デメリット自宅などに保管していた場合、改ざんされる可能性や相続人に発見されない可能性があり、裁判所の検認が必要  手数料がかかる 作成にあたって証人2人が必要 平日に公証役場に出向く必要がある
注意点遺言の内容が不正確で遺留分を侵害している場合などは、相続人同士で争いが起きる可能性がある相続人になる予定の者、未成年者などは証人になることができない 財産価額によっては手数料がかさむ

なお裁判所の検認とは、遺言書の偽造・変造・改ざんを防止するための手続きです。検認を受けたからといって、遺言書が法的に有効と証明されるわけではありません。

公正証書遺言の手数料は以下の通りです。

遺産の価額手数料
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額

出典:日本公証人連合会ホームページ「手数料」より

自筆証書遺言作成のポイント

自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で不備があると無効になってしまう恐れがあります。

作成をする前に以下のポイントをおさえておきましょう。

遺言者が、全文・日付・氏名を自書し、押印する日付は正確に記載する(無効になる例:○月吉日)財産目録はパソコンで作成可能特定の親族の遺留分を侵害しないように配慮するなぜ遺言書に書いている相続の内容になったのか、相続の相続人に伝えたい思いなどは、「付言事項」に記載をする

遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の子どもや父母などの最低限の取り分です。兄弟姉妹には遺留分がありません。遺留分を侵害された人は、遺留分侵害額の請求調停を申し立てることができます。

まとめ

自筆証書遺言と公正証書遺言はそれぞれメリット・デメリットがありますので、自身の意向に沿った形式を選ぶことが重要です。

分からないことがある方は、税金も含め相続に強い税理士に相談する方法もありますので検討してみましょう。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

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