遺留分とは?請求できる相続人や割合・計算方法を解説!

遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者、父母や祖父母、子どもなどに与えられた遺族の最低限の遺産の取り分です。

例えば、遺言書に被相続人が生前お世話になった人など特定の遺贈者に遺産を相続させる内容であっても、遺族は遺留分を請求できます。

今回は遺留分とは何か、請求できる相続人や割合・計算方法、注意点を解説していきます。

遺留分を請求できる相続人の範囲とは

遺留分とは、相続における遺族の生活保障を考慮した最低限の取り分です。

遺留分の権利を持つ相続人は、被相続人の配偶者、父母や祖父母など直系尊属、子どもなどの直系卑属で「遺留分権利者」と呼ばれます。なお兄弟姉妹とその代襲相続人(甥・姪)に遺留分はありません。

遺留分の割合と計算方法

遺留分には遺留分権利者の全員に対する相続財産全体の割合「総体的遺留分」と、総体的遺留分を法定相続分の割合で分配した「個別的遺留分」があります。個別的遺留分は、各遺留分権利者の遺留分を指します。

総体的遺留分の割合は、民法1042条で以下のように定められています。

出典:国税庁「税務大学校 税大講本 相続税法(2024年度分)」

例えば相続人が、配偶者と子ども2人である場合総体的遺留分は1/2です。

個別的遺留分は、配偶者が1/4(1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分))、それぞれの子供は1/8(1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分)×1/2(子どもの人数))です。

遺留分侵害額の請求とは

遺留分権利者とその承継人が、遺言書による相続などにより遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、贈与または遺贈を受けた者に対して遺留分侵害額相当の金銭の支払いを請求できます。

例えば、愛人に100%遺産を相続させるといった偏った内容の遺言書が発見された場合は配偶者と子どもは侵害された遺留分の請求が可能になるのです。

ちなみに、遺産分割協議で全員が合意した場合は、遺言書通りの内容では無い遺産分割も可能です。

当事者間で話がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停申立ての手続きができます。

遺留分侵害額の請求、注意点

遺留分侵害額の請求は、家庭裁判所に調停を申立てる前に、「遺留分に関する権利を行使する」旨の意思表示を相手方にしなくてはなりません。

よって家庭裁判所に申立てをする前に、内容証明郵便を送るといった意思表示をしておきましょう。

意思表示をしない場合、遺留分侵害額請求の権利は相続開始と遺留分を侵害された事実を知ってから1年を経過した時(もしくは相続開始から10年を経過した時)に時効によって消滅します。

遺留分を侵害されており、侵害額を請求したい方は早めに相手に意思表示をすることをおすすめします。

まとめ

遺留分の金額や計算などでお困りの方は、税理士に相談してみるという方法もあります。相談する際には、相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

keyboard_arrow_up

0988638648 0442461151 0488716940