Archive for the ‘税理士監修コラム’ Category

2025年の税制改正はどうなる?扶養控除の見直し、相続税・贈与税関連の要望を解説

2024-09-20

税制改正大綱とは

税制改正大綱とは次年度の税制改正の「たたき台」で、毎年12月中旬辺りに閣議決定されます。

税制改正は毎年行われていますが、2025年の税制改正については2024年の8月末の各省庁からの要望が出揃いました。

2025年の税制改正大綱で扶養控除見直しについて決定する見込み

2024年度の税制改正大綱において、児童手当の所得制限撤廃と支給期間の延長を踏まえ扶養控除の見直しは「2026年(令和8年)分以降の所得税と2027年(令和9年)度分以降の個人住民税の適用について結論を得る」という記述があります。

よって、2025年の税制改正大綱では扶養控除見直しについて結論が出ます。

具体的には、16~18歳の扶養控除が所得税25万円(現行38万円)、個人住民税12万円(現行33万円)に引き下げられる予定です。

出典:内閣官房「扶養控除見直しの影響への対応に係る関係府省会議 資料」

相続・贈与関連の税制改正の要望3つを解説

1.死亡保険金の相続税非課税限度額の引き上げ

金融庁が1991年から継続し要望しているのが、現行(法定相続人の数×500万円)の死亡保険金の相続税非課税限度額に「配偶者および未成年の被扶養法定相続人数×500 万円」を加算する案です。

この措置が適用されることで、2022年には推計90,434百万円の税金が軽減される見込みです。

2.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充及び延長

「結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」は、親・祖父母といった直系尊属が2025年3月31日までの間に子どもや孫が結婚・子育てに利用する財産1,000万円までの贈与が一定の要件のもとで非課税になる制度です。

2015年に新設された制度ですが、年々契約数などが伸びており対象となる費用を拡充すること、期限を2年延長することが盛り込まれています。

3.上場株式等の相続税評価方法、物納要件の見直し

金融商品取引所に上場されている株式、公募投資信託といった「上場株式等」の相続税評価方法を見直し他の資産との間における負担感の差を解消すること、納税者が物納を利用しやすいよう特例を新設することを目的に金融庁が要望を提出しました。

税制改正大綱は12月中旬に発表 税制改正大綱は毎年12月中旬に、閣議決定が行われます。扶養控除の見直し、相続・贈与関連の改正などをこのサイトでもお伝えする予定です。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

相続時の節税対策として、今できることとは?生命保険、生前贈与・・・5つを紹介

2024-09-13

相続財産の評価額が「3,000万円+法定相続人の数×500万円」を超えると、相続税が課されます。

相続財産の評価額が上記の額を超えることが見込まれ、将来の相続税をおさえたい方は節税対策が必要です。相続税対策を早めに行うことで、納税額の負担を軽減できる事例があります。

今回は、生前贈与や相続時精算課税制度、生命保険への加入など相続税対策5つを紹介していきます。

1.非課税枠を活用した生前贈与

年間110万円以内の贈与は、贈与税がかかりません。生きているうちに相続人などに年間110万円以内の贈与をすることで、相続時の財産が減り節税対策につながります。

また、子ども・孫への贈与といった一定の要件を満たすと①住宅取得等資金、②教育資金、③結婚・子育て資金の非課税措置が利用できます。

贈与契約書を毎年作成し、保管しておきましょう。

そして、相続開始前7年以内に相続人などが取得した遺産は相続財産に含まれ相続税の課税対象となってしまいますので注意しましょう。

2.相続時精算課税制度の活用

贈与税の課税方法には、上記の「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。

暦年課税と相続時精算課税は併用できず、贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」を提出しない場合は自動的に暦年課税が適用されます。

相続時精算課税制度は、届出書を出した特定贈与者からの贈与で取得した財産の価額の合計額から、基礎控除額110万円(年間)+最高2,500万円(通算)までは贈与税がかからず、相続時に贈与財産(年間の基礎控除額などを除く)の額が相続税の課税対象となる仕組みです。

出典:国税庁「令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」

相続財産の額によっては有効な相続対策となり得ますが、一度選択すると取り消すことができませんので、注意しましょう。

3.生前に墓地、墓石、仏壇、仏具などを購入する

上記は「祭祀財産」と呼ばれ、相続税の非課税対象です。

生きているうちに祭祀財産を購入すると現金が減りますので、相続財産の減少と相続税の軽減が期待できます。

4.生命保険への加入

生命保険金は一定の要件を満たすと、「500万円×法定相続人の数」までが非課税です。生きているうちに生命保険に加入し、一時払いでまとめて保険料を支払うと現金が減り相続税対策となることがあります。

5.現金を不動産に資産替え

相続財産としての不動産の評価は、土地が時価の約8割(相続税評価額)、家屋が時価の約7割(固定資産税評価額)となりますので現金を不動産に替えることは相続対策として有効と言われています。

相続した土地で一定の要件を満たすものは「小規模宅地等の特例」が適用され、50~80%評価額が減額されますので、相続対策には一定の効果が期待できるでしょう。

ただし、相続開始前3年以内に購入された不動産は「通常の取引価格に相当する金額」によることとされているため、相続発生直前での資産替えは節税効果がないことに注意が必要です。

相続税対策は早めに

相続税対策は、元気なうちから早めに行うことをおすすめします。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。

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