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令和5年分贈与税申告書の受付開始と震災に係る一部特例について

2024-02-09

令和5年分贈与税申告書の受付が開始されました

 今年も早いもので一か月が経過しました。まだまだ冷えこむ日々が続き、体調管理に苦労されることも多いのではないでしょうか。東京都心でも記録的な積雪を観測したとのことで、日々の暮らしにも影響が出ていることでしょう。健康管理を徹底し免疫力を高め、この寒さを乗り越えていきましょう。

 さて、令和5年分の贈与税申告書の受付が開始されました。提出期限は、令和6年2月1日(木)から同年3月 15日(金)までとなっております。原則として、1年間で110万円を超える贈与を受けた者(受贈者)は贈与税の申告・納税の義務がございますので、この期限内に申告・納付手続きをお済ませください。

◇国税庁「申告書の作成のしかた等」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2023/pdf/004.pdf

災害によって一定の被害を受けた方は、一部特例がございます

  まず、この度の能登半島の地震で被害に遭われた皆様に、改めて心からお見舞いを申し上げます。前回に続き、災害によって一定の被害を受けた場合の特例をご紹介させて頂きます。

 前回のコラムでは、「相続税及び贈与税に係る申告・納付等の期限の延長」をご紹介させて頂きました。こちらは、被相続人が石川県、富山県に納税地を有する場合には、令和6年1月1日以降に到来する相続税、贈与税の申告・納付期限が自動で延長となることをご紹介させて頂きました。

 今回、「相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の創設」についてご紹介します。(相続時精算課税については、2023年8月18日掲載「マイホームの購入・改築予定者必見!相続時精算課税制度の特例」コラムにて制度を解説しておりますのでご参照下さい。)

 令和5年度税制改正により相続税法及び租税特別措置法の一部が改正され、相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例が創設されました。こちらは、相続時精算課税適用者が、特定贈与者から贈与により取得した土地又は建物について、その贈与の日から特定贈与者の死亡に係る相続税申告書の提出期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害によって一定の被害を受けた場合には、その相続税の課税価格となる土地又は建物の価額は、その災害による被災価額を控除した残額とすることができる制度です。

※被災価額とは、被災額から保険金などにより補填される金額を差し引いた金額をいい、その土地の贈与時の価額又はその建物の想定価額を限度とする。)

 この特例の適用を受けるためには、相続時精算課税適用者が、原則としてその災害発生日から3年を経過する日までに、災害による被害額や保険金などにより補填される金額などの事項を記載した申請書に「罹災証明書」など一定の書類を添付して、贈与税の納税地の所轄税務署長に提出・承認を受ける必要がございます。

 現在、当制度の適用を検討される方々だけでなく、昨今異常気象が毎年のように発生することから、全ての方々に今後の知識としてご参照頂ければと存じます。さらに詳しい制度概要は、下記リンクよりご参照下さい。

◇令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

災害による被害を受けたときの相続税の税制上の措置について

2024-01-26

この度の能登半島の地震で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。

今回は、能登半島地震における相続税法上の措置およびこの度の地震のように、災害被害を受けたときの相続税の税制上の措置についてご紹介させて頂きます。

能登半島地震における相続税の税制上の措置

1.相続税及び贈与税に係る申告・納付等の期限の延長

 被相続人が石川県、富山県に納税地を有する場合には、令和6年1月1日以降に到来する相続税、贈与税の申告・納付期限が自動で延長となります(申請手続き等は必要ございません)。

※相続税の場合は令和5年2月28日、贈与税の場合は令和5年1月1日以降に相続(贈与)により財産を取得した方が対象になりますのでご注意ください。

 また、石川県、富山県以外に納税地を有する場合におかれましても、この度の地震で被災された方については、所轄の税務署長に対し、個別に申請することで、これらの措置の適用を受けることができます。

 延長期限に関しましては、被相続人が石川県、富山県内に納税地を有する場合には、①国税庁の定める日と、②災害発生日の翌日から10カ月を経過する日(令和6年11月1日)のいずれか遅い日まで延長となります(被相続人の納税地が石川県、富山県以外の場合には、令和6年11月1日まで)。

 1月24日現在、「国税庁の定める日」はまだ公表されておりませんが、少なくとも、令和6年11月1日までは延長できるということになります。

 なお、細かな要件もございますので、ご自身が対象になるか否か等につきましては、下記URLからご確認ください。

【国税庁-「令和6年能登半島地震」により被災された納税者の相続税及び贈与税に係る申告・納付等の期限の延長について】

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/r6/noto/pdf/0023001-073_01.pdf

2.相続放棄等の熟慮期間の延長

 相続人は、被相続人の残した財産のみならず、借金等の債務も引き継ぐことになりますが、こうした場合、「相続放棄」をすることにより、引き継がない選択をすることも可能です。

 通常、相続放棄をする場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から3カ月以内に家庭裁判所に申述をしなければなりませんが、この度の被害に遭われた方に関しましては、その期間を令和6年9月30日まで延長することとされています(ご自身が対象になるか否かにつきましては下記ホームページをご確認ください)。

【法務省ホームページ】

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00346.html

その他、今回の地震をはじめ、災害があった場合には、特定土地等の特例や災害減免法による減免といった措置もございますので、下記にて紹介させて頂きます。

災害を受けたときの相続税の税制上の措置とは?

 今回の能登地震に限らず、災害を受けた場合、相続税には申告期限の延長、減免といった税制上の措置があります。以下、その措置の内容について紹介させて頂きます。

 なお、ここでいう「災害」とは「特定非常災害」を指し、甚大な被害をもたらしたと内閣府が定める災害になります(詳細は下記URLをご確認ください)。以下、このページでは便宜的に「災害」と表記します。

1.特定土地・特定株式等の評価額

 特定土地・特定株式については、取得時の時価によらず、災害発生直後の価額によることができるため、税負担を軽減できる可能性があります。

※特定土地…災害により甚大な被害を受けたと財務大臣が指定する地域のこと

※特定株式…災害により甚大な被害を受けた地域内にあった動産、不動産、不動産の上に存する権利および立木の価額の合計額が保有資産の合計額の10分の3以上である法人の株式等(上場株式等を除く。)

2.災害減免法による減免

 相続等により取得した財産が、災害によって被害を受けた場合、一定の要件を満たせば、相続税が減免されます。

  • 法定申告期限前に災害があった場合

 相続税の申告書に、被害の状況や被害額等を記載した相続税等の財産の価額の計算明細書を添付し、申告期限内に税務署に提出することによって、課税価格を減額することができます。

  • 法定申告期限後に災害があった場合

 相続税等の免除承認申請書に、被害の状況や被害額等を記載し、災害のやんだ日から2か月以内に、納税地の所轄税務署長に提出することによって、課税価格を減額することができます。

 なお、要件など詳細につきましては下記URLをご参照ください。

 その他、災害により被害を受けた場合にはこの度の地震同様、申告・納付期限の延長を受けられる場合がございます。そのため、災害があった際には、ご自身が措置の対象になるか否かをまずは確認してみましょう。

【国税庁-災害を受けたときの相続税の取扱い】

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8006.htm

【国税庁-相続税又は贈与税の災害減免措置について(令和6年能登半島地震用)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/r6/noto/pdf/0023001-073_02.pdf

おわりに

 ここで紹介した内容以外にも、災害があった場合には相続税に対する様々な税制上の措置がございます。今回は申告期限の延長や減免といった主な措置を紹介するに留まりましたが、その時の状況に応じて、税理士や専門家の方にご相談頂くことをお勧めいたします。

知らなかったではすまない!?事業を相続した場合の消費税とインボイス!②

2024-01-12

事業を行っていた被相続人の事業を相続人が承継した場合の消費税の取り扱いについて、前回から2回に分けてご紹介しております。第2回目である今回は「被相続人が適格請求書(インボイス)発行事業者だった場合」に、どのようなことに注意しなければならないのかをご紹介をします。

被相続人が死亡した場合に相続人は何をするの?

適格請求書(インボイス)発行事業者だった被相続人が死亡した場合には相続人には速やかに、納税地の所轄税務署長に「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があります。

なお、亡くなった被相続人の適格請求書(インボイス)発行事業者の登録の効力は、「上記の死亡届出書の提出の翌日」又は「死亡した日の翌日から4月を経過した日」のいずれか早い日に失われます。

相続人もインボイス登録が必要!?

前回もご紹介したように相続人の消費税の納税義務の判定は被相続人の課税売上高も考慮する必要があります。そのため、相続で事業を承継したことがきっかけで初めて課税事業者になるケースもあり、相続人はインボイス登録を行うかどうか検討する必要があります。

インボイス制度では、被相続人の適格請求書(インボイス)発行事業者の登録の効力は相続人には及ばず、事業者ごとに適格請求書(インボイス)発行事業者の登録をする必要があります。

したがって、インボイス登録を希望する場合には、新たに適格請求書(インボイス)発行事業者の登録の申請を行わなければなりません。

4ケ月間のみなし登録期間がある

適格請求書(インボイス)発行事業者の登録の申請をすると税務署から登録番号が交付されるまで、通常であれば1~2週間程度時間がかかります。この発行されるまでの期間、相続人は登録番号を請求書に記載することができなくなります。そこで特別に、相続があった日から4月を経過した日又は、適格請求書(インボイス)発行事業者の登録があった日の前日のいずれか早い日までは、被相続人の登録番号を使用することができ、被相続人の登録番号が相続人の登録番号とみなされます。

知らなかったではすまない!?事業を相続した場合の消費税とインボイス!①

2023-12-28

亡くなった方の不動産事業を承継した場合に潜む落とし穴

今回は、2回に分けて事業を行っていた被相続人が適格請求書(インボイス)発行事業者ではない場合とある場合とに分けてご紹介します。今お読みになっている第1回目では、「被相続人が適格請求書(インボイス)発行事業者ではない場合」をご紹介します。

例えば、両親のどちらかから事業用資産を相続し、その営まれていた事業を承継する人も中にはいるでしょう。もともと個人事業を行っている方であれば、さほど問題となるケースは多くはないと思います。しかし、サラリーマンが事業承継した場合には消費税の納税義務者になる可能性があり、実は消費税の納税義務になっていたということもあるかもしれません。

では、具体的にどのようなケースがあるのかを見てみましょう。

消費税の納税義務とは

個人事業者の消費税の納税義務は、基本的に、本人の2年前の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかです。(そのほかにも要件がありますが割愛します。)1,000万円を超えると消費税の納税義務者となり通称「課税事業者」といい、反対に1,000万円以下の事業者は「免税事業者」といいます。

相続があった場合の消費税の納税義務とは

例えばサラリーマンである相続人が親の事業を承継した場合のように、その相続人の2年前の課税売上高がたとえ0円と1,000万円以下でも次のパターンに応じて納税義務者になる可能性があります。

①相続があった年の納税義務について

・被相続人の2年前の売上高が1,000万円を超えている場合

→この場合には相続があった日の翌日から相続があった年の12月31日までの間に係る消費税を納める必要があります。

②相続があった年の翌年とその翌々年

・被相続人の2年前の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合

→その年、1年間は消費税の納税義務者となります。

このように、被相続人の課税売上高も考慮する必要があるため、気づかないうちに実は、消費税の納税義務だったということもあります。

次回、第2回目では、被相続人が「適格請求書(インボイス)発行事業者である場合」をご紹介します。

相続税が非課税に!?相続税と「ふるさと納税」との関係

2023-12-15

はじめに

今年も残すところあとわずかとなりました。
この時期は「ふるさと納税」を行う方や、行おうと考えている方も多いのではないでしょうか?
ふるさと納税は、自身が応援したい地方公共団体に寄附を行うことで、その地域の名産品などが返礼品としてもらえるほか、寄附額から2,000円を差し引いた金額が所得税・住民税から控除される(※)というお得な制度です。実質2,000円で返礼品をもらえるということで大人気の制度で、総務省の公表によると令和4年度には受入件数5,184.3万件、受入額が9,654.1億円となったそうです。
※所得金額に応じた控除限度額がありますので注意が必要です

そんなふるさと納税ですが、実は相続税の節税としても使える場面があります。

相続税が非課税に!

相続税には「国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等」という規定があります(租税特別措置法70条)。この規定は、相続財産を国や地方公共団体などに贈与すると、その財産については相続税の対象から除かれるというものです。
相続財産を使ってふるさと納税を行った場合も、この規定の適用を受けることができます。

例えば、相続財産のうち現金10万円をふるさと納税に充てた場合、この現金10万円が相続税の対象から除かれます。相続税の税率は10%~55%ですが、最低税率の10%で計算した場合でも1万円(=10万円×税率10%)の節税となります。所得税・住民税から控除される金額と合わせると返礼品がもらえるだけでなく寄附額よりも大きな節税となることもあります。

なお、主な適用要件は下記の通りとなります。

  • 遺言による寄附でないこと
  • 相続税の申告期限までに寄附を行うこと
  • 相続税の申告時に明細と寄附金受領証明書を添付すること
  • 相続した財産をそのままの形で寄附すること
    (不動産などを現金に換えてから寄附するのは適用対象外)

【国税庁HP No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4141.htm

さいごに

所得税・住民税の節税になることは広く知られている「ふるさと納税」ですが、上記のように相続税の節税となることもあります。適用できる場面は少ないかもしれませんが適用できるときは忘れず活用したいですね。

空き家譲渡特例の活用

2023-12-01

はじめに

日本の空き家の現状について、5年に一度総務省によって行われる「住宅・土地統計調査」によると、長期にわたって利用されていない住宅などの空き家が2018年は349万戸あるとされ、2023年の調査では更に増えると予想されています。

空き家の取得経緯の中で相続が半数以上を占めているとされ、空き家対策の一部として開始されたのが「空き家譲渡特例」になります。

空き家譲渡特例の概要

空き家譲渡特例とは、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といい、相続または遺贈によって空き家またはその敷地等を取得した相続人等が、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却し、一定の要件を満たす場合、その売却に係る譲渡所得金額から最大3,000万円を控除できる特例になります。

主な適用要件は下記となります。

  • 売却した人が、相続または遺贈により空き家およびその敷地等を取得したこと。
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下であること。

〇「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

最後に

相続または遺贈により家及び土地を取得したけど、特に活用せず放置している方もいらっしゃると思います。当制度の適用を受けるためには相続から3年以内に売却をしないといけないため、当制度にご興味がある方は、お早めに専門の税理士にご相談されることをおすすめ致します。

某タレント事務所問題で話題の「事業承継税」について

2023-11-20

 2023年も残りわずかとなりました。東京都心では11月初旬にもかかわらず気温が10度を下回り、慌てて冬支度を初めて方々も多いのではないでしょうか。STCグループが事務所を有する沖縄県でも、ひんやりとした秋風を感じるようになったとのことで、1年の終わりを感じるのと同時に、年の瀬の到来をひしひしと感じております。インフルエンザ感染の報告も増えてきておりますが、体調管理に気を付け、季節の変わり目を乗り越えましょう。

 さて、法人の後継者問題解決の一助として創設られた「法人版事業承継税制」の申請期限が2024年3月31日(特例措置のみ)と期限が差し迫る中、某タレント事務所のスキャンダルをきっかけに当制度に興味を持つ方々が多くなったことから、今回、「法人版事業承継税制」をご紹介させて頂きます。

某タレント事務所のスキャンダルと法人版事業承継税制

 そもそも、なぜあの話題と法人版事業承継税制が話題となったのか。まず、当該事務所のスキャンダルの事実が確定した後、問題の責任を代表取締役Jがどのように取るのかが注目された中、結局代表取締役の地位から退くことなく、また保有株式の譲渡も検討せず、職務により責任を果たしていく、との発表がありました。

 これが、当該事務所の元代表取締役社長がなくなった際に発生した、当該事務所の株式を相続したことによる、巨額な相続税が免除される「法人版事業承継税制」の適用を受けるためではないかと指摘されたのです。つまり、スキャンダルによる被害者の救済の為ではなく、相続税課税を逃れるための代表取締役留任とみられたのです。

「法人版事業承継税制」について

 法人版事業承継税制は、経営承継円滑化法の基、中小企業の後継者の税負担を軽減するための特例措置であり、平成30年度税制改正により大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられました。具体的には、贈与税や相続税の納税を猶予・免除する制度であり、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、別途、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります(今回個人版事業承継税制は省略)。

 この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があります。特例措置については、事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。

 「一般措置」と「特例措置」の詳しい解説や、当制度により贈与税・相続税の納税猶予・免除を受ける際の具体的な手続きについては、添付のパンフレットよりご確認頂けます。

〇「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和5年6月)」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-133_01.pdf

指摘された問題点

 法人版事業承継税制の特例措置による相続税の納税猶予・免除を検討した際、原則として、会社の後継者や承継時までの経営計画を記載した「特例承継計画の提出」を令和6年3月31日までに行い、相続開始後10か月以内に都道府県知事の「円滑法の認定」を受け、5年間代表者であること5年間株式等を保有し続けること(譲渡等を行わないこと)が要件となります。

 某タレント事務所の代表取締役Jの職位留任と保有株式譲渡なしの意向は、上記要件の継続適用の為だったのでしょうか。その後代表取締役Jは、全ての関連会社の代表取締役を退くことが発表されましたが、その場合、猶予取消となることとなる為、相続税がどのくらいの規模になるのか気になるところです。

法人版事業承継税制の有益なご活用を

 法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続した場合に、贈与税や相続税の納税を猶予・免除する制度ですが、特例措置の適用にあたっては、必要手続きも多く、また長期的な承継スケジュールを立てる必要があり、若干ハードルの高い制度となっております。制度適用の有利不利も一概に判断できない為、当制度にご興味がある場合は、お早目に専門の税理士等にご相談されることおすすめ致します。

〇国税庁HP「法人版事業承継税制」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/houjin.htm

学費援助に贈与税…⁉ 非課税制度を用いた節税方法の紹介

2023-11-03

学費援助と贈与税の関係

1年間に贈与を受けた金額が110万円を超えてしまうと、受贈者に贈与税が発生します。

ということは、祖父母などから孫へ学費等の教育資金を援助する場合においても、110万円を超える贈与があった場合には贈与税がかかるということになります。

しかし、教育資金の贈与は主として高齢層が保有している資産を若い世代へ受け渡し、結果として経済の活性化に繋がるといった理由から、一定の金額までは非課税枠が設けられています。

教育資金贈与の非課税枠

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の方が教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から教育資金の提供を受けた場合等(※1)にはその金額の内、1,500万円までは非課税となります。

ただし、この場合、受贈者である30歳未満の方が、金融機関等に「教育資金非課税申告書」の提出等をする必要があります。さらに、教育資金の支払を行った場合には、支払に充てた金銭に係る領収書などその支払の事実を証する書類等を提出期限までに金融機関等に提出する必要があることにも注意しましょう(下記URL2ページ目「2.教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払」参照)。

なお、契約中に贈与者が亡くなった場合には別途、金融機関等に届出を提出する必要がありますので、ご注意ください(下記URL3ページ目「3.契約期間中に『贈与者が死亡した場合』の取扱い等」参照)。

※1 次のようなケースが該当します。

①信託受益権を取得した場合

②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合

③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合

【国税庁HP-祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の あらまし】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/pdf/0023004-114_02.pdf

対象となる教育資金贈与の例

入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学試験の検定料、学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用などが対象です。

その他、学校等以外の者に対して直接支払われる塾や習い事といった費用(詳細については上記URL2ページ目を参照)に関しては500万円を限度として対象となります。

改正による期限延長と注意点

教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は令和5年度の税制改正で、期限が令和5年3月31日から令和8年3月31日までに延長されることになりました。

本制度は、確かに1,500万円の非課税枠が設けられていることにより贈与税がかからずに贈与が可能な点は魅力的ですが、贈与者が亡くなった際、教育資金口座に残っている残高については相続財産に含められてしまうため注意が必要です。また、受贈者の対象年齢が30歳未満となっていることから、受贈者が30歳以上となっても尚、教育資金口座に残っている資金に関しては、贈与税の対象となってしまうため、こちらも注意する必要があります。

これらのことから、本制度のご利用前には事前に贈与する金額や受贈者の年齢といった事項を鑑みたうえで、手続きを進めることが望ましいと言えるでしょう。もし、ご自身で判断することが不安な場合には税理士といった専門家に相談してみるのもよいかもしれません。

まだ間に合う!タワマン節税改正の抜け道②

2023-10-20

以前のコラムでも取り上げました「タワマン節税」に関連して、評価方法の改正に向けて新たに動きがありましたので今回こちらをご紹介します。国税庁は、一般の意見公募を踏まえ、新たにタワーマンションも含めた「居住用の区分所有財産」についての評価方法を提案しました。

評価の見直しの対象となる範囲とは?

見直し対象となるものは、「区分所有登記がされた居住用のマンション」です。例えば、分譲マンション、タワーマンション、さらには高層階マンションのみならず、中低層階マンションも挙げられます。ただし、居住用であっても2階建て以下のマンション、二世帯住宅は見直しの対象から除かれ、区分所有オフィスなど事業用のものも同様に除かれます。

新しい評価方法とは?

土地と建物の相続税評価額は評価水準をベースに4つのパターンに分けられます。
①評価水準>1の場合(現行の相続税評価が市場価格より高い)
現行の相続税評価額×区分所有補正率(評価乖離率)

②0.6≦評価水準≦1の場合(現行の相続税評価が市場価格と同程度)
現行の相続税評価額

③0<評価水準≦0.6の場合(現行の相続税評価が市場価格より低い)
現行の相続税評価額×区分所有補正率(評価乖離率)×0.6

④評価水準≦0の場合 
評価額0

今回の見直し案では、市場評価額と相続税評価に乖離がある場合にはそれぞれ、現行の相続税評価をベースに補正率を加味して評価する方法が提案されています。なお、市場評価額と相続税評価の乖離状況を示す「評価水準」・「評価乖離」については下記のリンクをご参照下さい。

「e-govパブリックコメント」Microsoft Word – 01_ ‰ßÆPœ.doc (e-gov.go.jp)

いつから新しい評価になるのか??

令和6年1月1日以降に相続、遺贈、贈与があった場合には今回ご紹介した新しい評価方法が適用されます。つまり、令和5年中はまだこの新しい評価方法が適用されません。しかし、市場価額と相続税評価が乖離しているものについては、場合によっては財産評価基本通達6項(総則6項)の適用がされ、通達の定めによって評価することが著しく不適当であると認められる財産の価額については、国税庁長官の指示を受けて評価される可能性があるため注意が必要です。

「相続土地国庫帰属制度」初の適用事例!

2023-10-06

第1号は富山県内の土地2件!

以前こちらのホームページでも紹介しました「相続土地国庫帰属制度」ですが、4月に制度が開始されてから令和5年8月末時点で申請数が885件に上る中、初めて富山県内にある土地2件について申請が承認され国庫に帰属したことを法務省が明かしました。

【法務省HP 法務大臣閣議後記者会見の概要】
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00450.html

承認後の流れは?

国庫帰属の申請が承認された場合、申請者は負担金を期限内(負担金の通知が到達した翌日から30日以内)に納付する必要があります。なお、負担金額が気になる方は法務省のホームぺージに自動計算シートが掲載されていますので、活用してみてはいかがでしょうか。

【法務省HP 相続土地国庫帰属制度の負担金】
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html

この負担金の納付によって土地の所有権が国に移転し、所有権移転登記を国が行います。また、住所変更登記や相続登記がされていない場合、これらも国が代位登記を行います。したがって、申請者は登記を行う必要はありません。

どうなる?今後の動きに注目

処分に困った土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」ですが、要件が厳しく、制度を使いたくても使えないという方が多いかと思われます。要件の緩和など誰でも使いやすい制度になると良いですね。
今後も制度の動きに注目していきたいと思います。

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