Archive for the ‘未分類’ Category
ポイントやマイルは相続できる?
はじめに
皆様はお好きな又は貯めているポイントはありますか?
現在、多くのポイント制度があり、ポイントありきでサービスを選ぶという方も少なくないと思います。
諸説ありますが、ポイント制度は1916年に北九州の呉服店が始めたのが最初といわれており、100年以上前よりあるサービスになり、徐々に消費者の間に浸透していきました。
最近、総務省がふるさと納税制度のルール見直しを発表し、寄付した人に独自のポイント付与を行う仲介サイトを通した寄付の募集を禁止するとしました。
このように、今やポイント制度は私たちの生活の中で切っても切れない関係にあります。
亡くなった方のポイント、マイルはどうなる?
ポイントについては基本的に相続することはできなくなっており、大手のVポイントでは利用規約に相続できない旨が明記されております。
一方、マイルについて、ANAやJALなどの航空会社では一定の手続きをすると相続できると規約で定められております。
相続したマイルの評価額はどうなる?
・ANA、JALの場合
マイルの評価方法は明らかにされておりませんが、マイルと交換できる航空券等の価額は、選択する路線や区間によって1マイルあたりの円換算額が大きく異なる可能性があり、マイルは電子マネーと1マイル=1円と交換することができことから、1マイル=1円で評価するのが妥当と考えられます。
・その他のマイルの場合
ソラシドエアのマイルのように、相続できるマイルでも交換できるものが、特典航空券のみとなっているものについては、交換できる特典航空券の価額で評価することが妥当と考えれます。上述している通り、選択する路線や区間によって1マイルあたりの円換算額が大きく異なる可能性があるため、合理的な基準をもって評価する必要があります。
おわりに
デジタル遺産といわれるもののうち、代表的な電子マネー、マイルについては基本的に相続可能とされていますが、ポイントについては基本的に相続することができません。
積み上げた財産を無駄にしないためにも、生前から対策が必要と考えます。
国際相続の考え方について
ここ数年で、生活圏で外国人を目にする機会がだいぶ増えてきました。日本で暮らす外国人人口は年々増加しており、現在320万人、将来的には人口の1割が外国人となる時期がくるとも想定されています。本格的な多国籍社会への準備として、本格的に英語を再学習する機会を検討する必要もあるかもしれません。
外国籍の方の定住者が増えると、将来的に国際相続の問題も頻出してくるでしょう。例えば、そもそも相続手続きは、日本と本国どちらで行うのか。国外にある財産は相続財産の対象となるのか、など。今回は、日本に住む外国人の国際相続の基本的な手続きや注意点をご紹介します。
国際相続とは
国際相続とは、相続人または被相続人が国外に居住している場合、国外に相続財産が存在する場合等の、日本国内・国外に係る相続をいいます。国際相続では、相続人・被相続人の状況(その時の居住地等)や相続財産がどこに存在するかで適用法も異なる為、念入りな状況の検討を行う必要があります。
基本的な適用法
相続税の準拠法は、基本的に「相続統一主義」と「相続分割主義」という二つの考え方があり、日本は「相続統一主義」を採用し、法の適用に関する通則法第36条にて「相続は、被相続人の本国法による」と規定しており、被相続人の本国法に準拠することとしております。
つまり、被相続人が日本国籍であれば日本の法律に準拠し相続手続きを行うことになります。
※被相続人が日本国籍を有していても、被相続人の不動産が「相続分割主義」を採用する外国に所在していれば、不動産の相続についてはその不動産所在地の準拠法が適用されるなど、財産の種類や財産所在地により適用法が異なる場合がございます。
日本に住む外国人の納税義務
相続開始時に日本国内に住所を有する相続人はもちろんですが、相続開始時に日本国内に住所を有しなくても、日本国籍を有し、10年以内に国内に住所があった者などは、相続により取得した全ての財産に相続税が課されます。※詳細な区分は下記URLをご参照下さい。
◇納税義務者の範囲
◇相続人が外国に居住しているとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/01.htm
煩雑な手続き
例えば、日本の相続手続きでは、相続人の戸籍謄本が必要となりますが、外国籍の方の相続人について、日本の戸籍がない為、本国の戸籍を用意頂きますが、戸籍がない国であれば、出生証明書や婚姻証明書、宣誓供述書など相続関係を証明する書類などを準備する必要がございます。また相続手続き時にはこれらの日本語訳を添付する必要がございます。
相続開始前に専門家へご相談下さい
上記の通り、国境を越えた相続手続きは、日本・本国の適法や、被相続人と相続人の相関関係、日本国内での過去の居住状況等により大きく取り扱い・手続きが異なります。将来の相続発生に不安がある場合や、備えを検討する場合、お早目にお近くの専門家へご相談下さい。
制度開始から約1年! この1年で振り返る相続土地国庫帰属制度の運用実績
1.相続土地国庫帰属制度とは
当コラムでも何度か取り上げておりますが、まずは相続土地国庫帰属制度の内容について説明をさせていただきます。当制度は簡単に言いますと、「相続又は遺贈により土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合には、その土地を国に引き渡すことができる制度」です。
しかし、「せっかく取得した土地をどうして国に引き渡すの?」といった疑問の声もあるかもしれません。もちろん相続で取得した土地を有効活用できる場合はいいのですが、そうではない場合もあります。例えば、「遠方に住んでいるため相続した土地を利用する予定がない」、「管理が大変」といった場合です。
こうした場合、利用予定がない土地については、近い将来「所有者不明土地」となってしまいます。それを防ぐために、利用予定がない土地等について、一定の要件を満たせば、土地を手放し、国に引き渡すことができるとして設けられたのが当制度になります。
2.直近1年間での申請件数は?
当制度は令和5年4月27日からスタートした新しい制度です。そこで、この約1年間(令和5年4月27日~令和6年4月30日まで)の運用実績について法務省の下記ホームページから読み解くことにします。
まず、申請件数は2,030件で、地目別にみると、田・畑が771件で最も多く、次に宅地が744件、山林が298件、その他が217件となっています(※令和6年4月30日時点の情報です。以下同じ)。
【法務省ホームページ】https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00579.html
3.気になる運用実績について
それでは、申請件数2,030件のうち、どれほどの数が国庫に帰属されたのでしょうか?
答えは、「341件」です。種目別に見ると、宅地が148件で最も多く、次に農用地が87件、森林が11件、その他95件となっております。
2,030件の申請中、帰属されたものが341件であるため、制度開始から約1年間の実際の運用実績を単純に算出すると約16%ということになります。しかし、これは令和6年4月30日現在申請中のもので、これから帰属されるものも出てくることを考えると、この結果が運用実績として一概に低いと結論付けることはできないでしょう。ただ、申請したからと言って「必ずしも土地を国に引き渡すことができる訳ではない」ということは覚えておいておきましょう。
また、申請自体が却下された件数は8件、不承認の件数は12件となっており、それぞれの理由は次のようになっています。
(却下の理由)
・6件:現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1項)に該当した
・2件:境界が明らかでない土地(法第2条第3項第5号)に該当した
(不承認の理由)
・3件:土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)に該当した
・5件:国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地(施行令第4条第3項第4号)に該当した 等など
4.取り下げ件数
取り下げ件数は令和6年4月30日現在、237件となっており、理由として「自治体や国の機関による土地の有効活用が決定した」、「隣接地所有者から土地の引き受けの申出があった」、「農業委員会の調整等により農地として活用される見込みとなった」等の理由が挙げられています。
5.おわりに
制度が開始してから約1年とまだ間もないですが、申請件数が2,000件を超え、帰属件数は341件となりました。また、却下・不承認・取り下げの理由についても公表されているため、今後、当制度の利用を検討される方は参考にしてみるのもよいでしょう。もちろん税理士といった専門家に相談してみるのもいいかもしれません。
1,000万円まで非課税!結婚・子育て資金の贈与税の非課税制度をご紹介
結婚・子育ての贈与税の特別支援
今回のコラムでは、以前のコラムでご紹介しました「教育資金の一括贈与の非課税制度」に類似する「結婚・子育て資金の贈与税の非課税制度」について今回ご紹介します。
本制度は、少子化問題が叫ばれる昨今、将来の経済的不安を抱える若年層の結婚・子育てを支援するために平成27年から創設され、現行法では令和7年3月31日までの時限措置となっています。
結婚・子育て資金の非課税枠
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方が結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(両親、祖父母など)から結婚・子育ての資金の提供を受けた場合等にはその金額の内、1,000万円(注1)までは非課税となります。
(注1)結婚に関する費用については300万円までが非課税になります。
結婚資金と子育て資金の例示
本制度における非課税の対象となるのは主に下記の通りになります。
①結婚挙式費用、衣装費用、家賃、敷金、仲介手数料、引っ越し費用など
②人工授精など不妊治療、分娩費、産後ケアに要する費用、子の入園料、保育料など
一方で下記のようなものは非課税の対象から除かれます。
結婚指輪代、新婚旅行の費用、家具や家電の購入費用
その他の詳しい内容は、こども家庭庁のHPをご覧ください。
こども家庭庁HP:「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の概要」
本制度の改正点と注意点
本制度は令和5年度改正で適用期限が令和7年3月31日までに延長されるとともに、本制度が終了の時の口座残高への贈与税の課税について増税措置が創設されました。(注2)
1,000万円の非課税を適用できることは受贈者にとって、とても魅力的なものになります。しかし、受贈者の死亡以前に贈与者が死亡した場合には、口座残高(使い切れなかった結婚子育て資金)が相続税の課税対象となるので注意が必要です。また、このほかに、受贈者が50歳に達したりすると、本制度の適用が終了し、その時に残っている口座残高に贈与税(一般税率)が課されます。つまり、万が一の場合のことを考え、こまめに贈与を行うなど慎重に行うことが大切です。
(注2)18歳以上の受贈者が父母などの直系尊属からの贈与を受けた場合には低い税率(特例税率)が課されますが、その特例税率が適用できず、一般税率が適用されます。詳しい税率は下記のリンクを参照して下さい。
国税庁HP:「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
進む円安!外貨建資産の相続税評価について
はじめに
最近、ニュースで円安の話題が頻繁に取り上げられています。1ドル158円台まで円安が進んだのはおよそ34年ぶりだそうです。
本日は、円安が相続税に与える影響をご紹介いたします。
外貨建資産の相続税評価について
円安が相続税に与える影響として、主に外貨建資産の円換算が挙げられます。
相続税の申告は、外貨建ての財産であっても円に換算した金額で行います。この時注意しなければならないのが、いつ時点のレートを使うか、ということです。
円への換算については、原則として課税時期(=被相続人が亡くなった日)における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)にて行います。
【国税庁HP 外貨(現金)の邦貨換算】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4665.htm
例えば、50,000ドルの預金を相続し、課税時期のTTBが150円、TTM(※)155円、TTS160円(※)の場合で考えてみます。
この場合、課税時期のTTB150円で換算するため相続税評価額は7,500,000円(=50,000ドル×150円)となります。
なお、課税時期が休日等で、その相場がない場合には、課税時期前の相場のうち、課税時期に最も近い日の相場を使用します。
※TTM→TTBとTTSの仲値
※TTS→対顧客直物電信売相場
また、外貨建ての「債務」の場合には円換算はTTBではなくTTSにより行います。
相続税額への影響について
相続税評価については先ほどご紹介した通りとなります。それでは相続税額はどうでしょうか。
先ほどの例で相続税率を最低税率の10%で計算した場合、相続税額は750,000円(=7,500,000円×税率10%)となります。
もし、外貨預金の預入日のレートが1ドル100円で、仮にこのレートで計算した場合、相続税評価額は5,000,000円(=50,000ドル×100円)、相続税額は500,000円(5,000,000円×税率10%)となります
このように、同じ50,000ドルでも預入時は5,000,000円だった財産が相続税の計算上は7,500,000円で評価され、この例だと相続税額で250,000円もの影響が生じてしまいます。
また、相続税率は10%~55%の超過累進税率となっており相続財産の合計金額が大きいほど税率が大きくなります。上記の例では最低税率の10%で計算をしましたが、税率が大きくなるほど相続税額へ与える影響も大きくなります。
おわりに
相続税評価の円換算についてはいつ時点のレートを使うか、財産の場合はTTB、債務の場合はTTSを使うなど注意すべき点が多くミスが出やすいものです。外貨建資産を相続する可能性がある方は円換算について理解し、適正な相続税額の計算をすることが大切です。
「相続人がいない財産」について
1. はじめに
亡くなった人が残した財産のうち、相続人がいない財産については一定の手続きの後、国庫に納められることになります。
NHKの取材によりますと、2022年度の相続人がいない財産で国庫に納められた財産は768億円にものぼります。これは記録がある2013年度(336億円)から倍以上の金額となっております。
※NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231224/k10014298341000.html
2. 相続人がいない場合とは(相続人不存在)
相続人がいない場合を相続人不存在といい、下記が主な相続人不存在の状況となります。
2-1. 法定相続人がいない
法定相続人がいない場合には相続人不存在となります。
法定相続人は民法で定められた相続人となり、主に配偶者、子、親、兄弟姉妹になります。
2-2. 相続人の全員が相続放棄
法定相続人がいる場合であっても、その相続人の全員が相続放棄をした場合には相続人不存在となります。
相続する財産より借金などの債務が多い場合や、長年疎遠になっていたため今更財産はいらないなど、相続放棄でも様々な動機があります。
3. 相続財産清算人
相続人不存在の場合には、「相続財産清算人」が亡くなった方の財産を管理します。
相続財産清算人は、亡くなった方に対して債権を有している債権者、特別縁故者などの利害関係者や検察官が家庭裁判所に申し立てて、選任してもらいます。
相続財産清算人は、相続財産を清算するのに最も適任と認められる人が選ばれ、弁護士、司法書士等の専門職が選ばれることが多いとされています。
4.相続財産清算人の選任後
①相続人を捜すための公告
→相続人を捜すための公告を6か月以上の期間定めて行います。この公告の期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。
②債権申立ての公告
→①の公告があったときは、相続清算人は、債権申立ての公告を2か月以上の期間を定めて行います。相続財産の債権者や財産をもらうことになっていた人(受遺者)を確認するために行います。
③特別縁故者に対する財産分与の申立て
→①の公告の期間満了後、3か月以内に特別縁故者が家庭裁判所に申立てをし、認められれば財産分与がなされます。
④財産の精算
→相続財産清算人は、法律にしたがい債権者や受遺者へ支払いをしたり、特別縁故者に相続財産を分与するための手続きをします。相続財産が残った場合は、相続財産は国庫に納められることになります。
5.特別縁故者
5-1.特別縁故者とは
特別縁故者として認められる可能性があるのは、以下のような人です。
・被相続人と生計を同じくしていた者
・被相続人の療養看護に努めた者
・その他、被相続人と特別の縁故があった者
5-2.特別縁故者が財産分与を受けた場合
特別縁故者が財産の分与を受けた場合には、その財産を被相続人から「遺贈」によって取得したものとみなされます。
そのため、基礎控除額の3,000万円を超えると相続税の申告・納付の手続きが必要になります。
6.おわりに
相続人がいない場合の制度についてご紹介いたしました。
受遺者及び特別縁故者が財産をもらうことになった場合には、相続税の対象となり、基礎控除額を超えると相続税の申告・納付の手続きが必要になるほか、相続税が2割増しとなります。
弊社では相続税や贈与税についてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
相続登記義務化が開始されました。【2024年4月1日~】
2024年も4月に突入し、新年度が始まりました。過ごしやすい気温となる日も増え、全国的にも桜が見ごろとなり始めている様で、春の訪れを実感しております。新たな社員様を迎えられたクライアント様も多く、また皆様にとって活力ある一年の始まりとなることを切望しております。
さて、2024年4月1日より、相続登記の義務化が開始されました。過去コラムでも紹介しましたが、制度開始となりましたので改めてのご周知と、関連する法改正をご紹介致します。過去コラムと併せてお読み下さい。
相続登記の義務化について
相続登記の義務化とは、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。また遺産分割が成立した場合、これにより不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなしません。いずれの場合でも、正当な理由なく3年以内に登記申請をしなかった場合、10万円以下の過料対象となります。
ここで重要なことが、2024年4月1日より前に相続が開始している場合も義務化の対象となりますので、これまでに不動産を相続したが登記申請がまだお済でない方は、お早めに申請手続きをお済ませ下さい。(3年の猶予期間あり)
関連する法改正
相続登記の義務化に関連する法改正を紹介させて頂きます。
1,戸籍証明書等の広域交付制度 2024年3月1日施行
本籍地以外の市区町村役場で戸籍証明書・除籍証明書等を取得できるようになり、複数の本籍地にまたがる戸籍謄本等の請求も一か所の市区町村役場から行うことができるようになりました。
また、本人とその配偶者、直系尊属、直系卑属の戸籍謄本等を請求することができます。
※兄弟姉妹など、上記に該当しない者は従来通り本籍地での取得となります。
2,所有者の住所変更登記等の義務化 2026年4月1日施行
当制度も相続登記義務化の発端となる、所有者不明土地の解消(所有者の所在不明土地の解消)を目的としたもので、所有者の氏名、住所、名称に変更があった場合、その変更があった日から2年以内にその変更登記が必要となります。
その変更があった日とは、住民票や戸籍謄本、会社登記簿に記載されている転居日や氏名変更日が該当します。
なお相続登記の義務化と同様に過料があり、所有者の住所変更登記等の義務化の場合には、正当な理由がなく2年以内に登記申請をしなかった場合、5万円以下の過料対象となります。
まとめ
所有者不明土地の解消を目的とした相続登記の義務化が開始され、これまで不動産登記法上任意とされていた所有者の住所変更登記も義務化となります。2026年4月1日施行と準備期間が設けられているため、まだ変更申請手続きがお済でない方はお早めにご確認し申請手続きをお済ませ下さい。
コロナ後、相続税の税務調査が増加⁈ 調査結果から読み解く申告状況
はじめに
「税務調査」と聞くと、思わずゾッとする方もいらっしゃるのではないでしょうか。税務調査は法人、個人事業主だけに留まらず、遺産を相続した相続人に対しても行わることがあるため、私たちにとっても決して無関係なものではありません。
そこで、今回のコラムでは、国税庁が昨年末である令和5年12月に公表した「令和4事務年度における相続税の調査等の状況(※)」をもとに、最新の相続税の税務調査の申告状況について読み解いていきます。
※令和4年7月~令和5年6月末までの期間を指します
令和4年度の相続税の税務調査の結果
令和3事務年度においては、令和4事務年度から、実地調査件数が8,196 件、追徴税額合計が669 億円と、ともに前事務年度より増加(対前事務年度比 129.7%、119.5%)する結果となりました(下記URL2ページ目参照)。
また、実地調査以外に、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により、申告漏れ、計算誤り等が指摘されるケースも増え、これらによる追徴税額は合計で87億円(対前事務年度比125.2%)にまでのぼりました(下記URL3ページ目参照)。
この結果は、世の中がコロナ渦からある程度落ち着いたため、調査件数が増えたと同時に、実地調査に代え、電話等の非接触型の対応が機能したことにより、これまで以上に申告誤り等の指摘数が増えているものと捉えることができます。
【国税庁HP】https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf
申告漏れの多い財産
申告をしたからといって、その内容に誤りがあると判断されれば、追徴課税を被る場合があります。令和4年度においては、申告漏れ相続財産のうち、現預金や有価証券といった金融資産がおよそ全体の4~5割に及びました(上記URL7ページ目参照)。この結果から、金融資産は土地や家屋といった財産よりも見落としやすく、また、これらの財産の調査が重点的に行われたものとも解することができます。
海外にある財産の申告漏れにも要注意
令和4事務年度においては、海外資産に係る申告漏れ等の非違件数は 174 件(対前事務年度比151.3%)、海外資産に係る申告漏れ課税価格は 70 億円(同125.2%)と大きく増加しています(上記URL5ページ目参照)。相続税の申告の際には、海外にある財産まで考慮する必要があるため、申告漏れには是非とも注意したいところです。
おわりに
国税庁の令和4年度の相続税の税務調査の結果から、申告漏れ、誤り等により指摘されるケースが増えていることがご理解できたかと思います。相続税の申告の際には、最近当コラムでも取り上げました、暗号資産やNISA口座といった金融資産も対象になるため、こうしたあまり馴染みのない資産を意外と見落としてしまっている方もいるのではないでしょうか。このような財産の申告漏れを防ぐためにも、一度、専門家に相談してみるのもいいかもしれません。
ビットコインが史上最高値を更新!暗号資産と相続税の関係
はじめに
暗号資産(仮想通貨)として代表的なビットコインが約2年4か月ぶりに史上最高値を更新した、というニュースがありました。最高値を更新後はまたすぐ急落するなど、ビットコインを保有している方にとっては落ち着かない値動きになっています。
本日は、暗号資産と相続税との関係についてご紹介したいと思います。
暗号資産にも相続税が課税される?
亡くなった方が暗号資産を保有していた場合、その暗号資産にも、もちろん相続税が課税されます。
それでは、暗号資産は相続税の計算上、どのように評価されるのでしょうか?
ビットコインのような活発な市場が存在する(※)暗号資産は相続が発生した日時点の取引価格によって評価することになっています。
※「活発な市場が存在する」場合とは、暗号資産取引所又は暗号資産販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われており、継続的に価格情報が提供されている場合をいいます。
【国税庁HP 暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和5年12月)】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf
評価方法はとてもシンプルですが、現在のように高値となっている場合、懸念される点もあります。
例えば、相続が発生した日の暗号資産の取引価格が1,000万円、数か月後に急下落して取引価格が500万円となった場合はどうでしょうか。
この場合、今は500万円の価値しかないものが相続税の計算上はなんと1,000万円の価値があるものとして課税されてしまうのです。場合によっては相続税の納税資金が不足してしまうということになりかねません。
おわりに
上記のように、思わぬ課税がされてしまう可能性がある暗号資産ですが、逆に相続が発生した日が偶然安値でその後価値が上昇して得をしたという方もいるでしょう。
価値の変動が激しい財産なので、課税時期の取引価格だけではなく数か月の中から一番低い取引価格を選択できるようになったら良いなと個人的には思っています。
暗号資産はまだ歴史が浅い財産なので課税の公平という意味で評価方法が改善されていくと良いですね。
新NISA始まる!相続との関連性は?
はじめに
新NISAが2024年1月から開始されておりますが、皆様は新NISAをやっておりますでしょうか?
まずNISAとは、株式等への投資で得た利益(配当や売却益)について通常は税金がかかりますが、NISA口座を通じて得た利益については非課税になるという制度になります。
従来からあったNISA制度が一部改正され、2024年1月から導入されているのが新しいNISA制度、いわゆる新NISAとなっております。
NISA制度の詳しい概要については下記の金融庁のサイトをご確認ください。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html
NISA口座を相続した場合の税金はどうなるの?
NISA口座で得た利益について非課税であれば、NISA口座を相続した場合の税金も非課税になるのではと思った方もいるかもしれませんが、NISA口座で非課税となるのは所得税・住民税であり、相続税は残念ながら非課税となりません。
NISA口座も故人の金融資産になりますので、相続税の対象となる財産に含まれます。そのためNISA口座を含めた財産の金額が一定額を超える場合には相続税が生じることになります。
NISA口座を相続したらNISA口座はどうなるの?
故人の方が所有していたNISA口座にある金融資産を相続することになった場合、相続する方のNISA口座へそのまま移管できるのでしょうか? 答えは「No」です。
NISA口座にある金融資産を相続することになった場合には、相続する方のNISA口座以外の証券口座に移管することになります。
おわりに
老後2,000万円問題があり、新NISA制度も始まったことに伴い、株式投資への関心が世間的に高まってきていると思いますが、皆様はいかがでしょうか?
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