トランプ大統領による相互関税の発動や90日間の停止などによる株価の乱高下の影響で「相続時に株価はどうなるのだろうか」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
株式は上場株式と非上場株式で計算方法が異なり、上場株式の評価は、直近3カ月で最も低い価額を選びます。
また、相続税は株式などの有価証券に加え現金・不動産といった亡くなった方(被相続人)の遺産の総額をもとに計算します。
今回は相続税における株式の評価についてお伝えしていきます。
このページの目次
相続税は、相続財産全ての評価額をもとに計算する
相続税は、株式を含む有価証券に加え預貯金や不動産など被相続人の遺産総額をもとに計算します。
相続税には基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)がありますので、課税価格の合計額が基礎控除額を下回る場合には税金を納める必要はありません。
相続税の目安についてはこちらの記事をご参照ください。
株式は上場株式と非上場株式で評価方法が異なりますが、今回は保有している人が多い上場株式の計算方法を解説していきます。
上場株式の評価は、直近3カ月で最も低い価額を選ぶ
上場株式は、東京証券取引所など金融商品取引所に上場されている株式を指します。
株式市場が開いている間は毎日値動きがありますので、約3カ月前までさかのぼり評価額を決定します。
以下4つのうち、最も低い価額が評価額となります。
1. 課税時期※の最終価格 2. 課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額 3. 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額 4. 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額 |
※課税時期とは、相続または遺贈で株式を取得した場合は被相続人が亡くなった日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日
出典:国税庁「上場株式の評価」
課税時期に最終価格が無い、株式に権利落ちなどがある場合には、一定の修正を行います。
気配相場等のある株式の評価とは
日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄または公開途上にある株式を「気配相場等のある株式」と呼びます。
そのうち、登録銘柄や店頭管理銘柄は、上場株式と同様に以下4つの価額のうち最も低い価額で評価します。
1.課税時期の取引価格(取引価格に高値と安値がある場合は平均額) 2.課税時期の属する月の毎日の取引価格の月平均額 3.課税時期の属する月の前月の毎日の取引価格の月平均額 4.課税時期の属する月の前々月の毎日の取引価格の月平均額 |
出典:国税庁「気配相場等のある株式の評価」
公開途上にある株式のうち、株式の上場・登録にあたって株式の公募または売り出しが行われるものは株式の「公開価格」で評価します。
また、株式の上場または登録の際に公募などが行われない公開途上にある株式の価額は、課税時期以前の取引価格などを勘案して評価することになります。
相続税における株式といった有価証券の評価は難しいため、税理士に相談することをおすすめします。
まとめ
株式の相続・贈与について分からないことがある方は税理士に相談してみましょう。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。