以前のコラムでも取り上げました「タワマン節税」に関連して、評価方法の改正に向けて新たに動きがありましたので今回こちらをご紹介します。国税庁は、一般の意見公募を踏まえ、新たにタワーマンションも含めた「居住用の区分所有財産」についての評価方法を提案しました。
このページの目次
評価の見直しの対象となる範囲とは?
見直し対象となるものは、「区分所有登記がされた居住用のマンション」です。例えば、分譲マンション、タワーマンション、さらには高層階マンションのみならず、中低層階マンションも挙げられます。ただし、居住用であっても2階建て以下のマンション、二世帯住宅は見直しの対象から除かれ、区分所有オフィスなど事業用のものも同様に除かれます。
新しい評価方法とは?
土地と建物の相続税評価額は評価水準をベースに4つのパターンに分けられます。
①評価水準>1の場合(現行の相続税評価が市場価格より高い)
現行の相続税評価額×区分所有補正率(評価乖離率)
②0.6≦評価水準≦1の場合(現行の相続税評価が市場価格と同程度)
現行の相続税評価額
③0<評価水準≦0.6の場合(現行の相続税評価が市場価格より低い)
現行の相続税評価額×区分所有補正率(評価乖離率)×0.6
④評価水準≦0の場合
評価額0
今回の見直し案では、市場評価額と相続税評価に乖離がある場合にはそれぞれ、現行の相続税評価をベースに補正率を加味して評価する方法が提案されています。なお、市場評価額と相続税評価の乖離状況を示す「評価水準」・「評価乖離」については下記のリンクをご参照下さい。
「e-govパブリックコメント」Microsoft Word – 01_ ‰ßÆPœ.doc (e-gov.go.jp)
いつから新しい評価になるのか??
令和6年1月1日以降に相続、遺贈、贈与があった場合には今回ご紹介した新しい評価方法が適用されます。つまり、令和5年中はまだこの新しい評価方法が適用されません。しかし、市場価額と相続税評価が乖離しているものについては、場合によっては財産評価基本通達6項(総則6項)の適用がされ、通達の定めによって評価することが著しく不適当であると認められる財産の価額については、国税庁長官の指示を受けて評価される可能性があるため注意が必要です。