進む円安!外貨建資産の相続税評価について

はじめに

最近、ニュースで円安の話題が頻繁に取り上げられています。1ドル158円台まで円安が進んだのはおよそ34年ぶりだそうです。

本日は、円安が相続税に与える影響をご紹介いたします。

外貨建資産の相続税評価について

円安が相続税に与える影響として、主に外貨建資産の円換算が挙げられます。
相続税の申告は、外貨建ての財産であっても円に換算した金額で行います。この時注意しなければならないのが、いつ時点のレートを使うか、ということです。
円への換算については、原則として課税時期(=被相続人が亡くなった日)における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)にて行います。

【国税庁HP 外貨(現金)の邦貨換算】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4665.htm

例えば、50,000ドルの預金を相続し、課税時期のTTBが150円、TTM(※)155円、TTS160円(※)の場合で考えてみます。
この場合、課税時期のTTB150円で換算するため相続税評価額は7,500,000円(=50,000ドル×150円)となります。
なお、課税時期が休日等で、その相場がない場合には、課税時期前の相場のうち、課税時期に最も近い日の相場を使用します。

※TTM→TTBとTTSの仲値
※TTS→対顧客直物電信売相場

また、外貨建ての「債務」の場合には円換算はTTBではなくTTSにより行います。

相続税額への影響について

相続税評価については先ほどご紹介した通りとなります。それでは相続税額はどうでしょうか。
先ほどの例で相続税率を最低税率の10%で計算した場合、相続税額は750,000円(=7,500,000円×税率10%)となります。
もし、外貨預金の預入日のレートが1ドル100円で、仮にこのレートで計算した場合、相続税評価額は5,000,000円(=50,000ドル×100円)、相続税額は500,000円(5,000,000円×税率10%)となります

このように、同じ50,000ドルでも預入時は5,000,000円だった財産が相続税の計算上は7,500,000円で評価され、この例だと相続税額で250,000円もの影響が生じてしまいます。

また、相続税率は10%~55%の超過累進税率となっており相続財産の合計金額が大きいほど税率が大きくなります。上記の例では最低税率の10%で計算をしましたが、税率が大きくなるほど相続税額へ与える影響も大きくなります。

おわりに

相続税評価の円換算についてはいつ時点のレートを使うか、財産の場合はTTB、債務の場合はTTSを使うなど注意すべき点が多くミスが出やすいものです。外貨建資産を相続する可能性がある方は円換算について理解し、適正な相続税額の計算をすることが大切です。

keyboard_arrow_up

0988638648 0442461151 0488716940