ここ数年で、生活圏で外国人を目にする機会がだいぶ増えてきました。日本で暮らす外国人人口は年々増加しており、現在320万人、将来的には人口の1割が外国人となる時期がくるとも想定されています。本格的な多国籍社会への準備として、本格的に英語を再学習する機会を検討する必要もあるかもしれません。
外国籍の方の定住者が増えると、将来的に国際相続の問題も頻出してくるでしょう。例えば、そもそも相続手続きは、日本と本国どちらで行うのか。国外にある財産は相続財産の対象となるのか、など。今回は、日本に住む外国人の国際相続の基本的な手続きや注意点をご紹介します。
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国際相続とは
国際相続とは、相続人または被相続人が国外に居住している場合、国外に相続財産が存在する場合等の、日本国内・国外に係る相続をいいます。国際相続では、相続人・被相続人の状況(その時の居住地等)や相続財産がどこに存在するかで適用法も異なる為、念入りな状況の検討を行う必要があります。
基本的な適用法
相続税の準拠法は、基本的に「相続統一主義」と「相続分割主義」という二つの考え方があり、日本は「相続統一主義」を採用し、法の適用に関する通則法第36条にて「相続は、被相続人の本国法による」と規定しており、被相続人の本国法に準拠することとしております。
つまり、被相続人が日本国籍であれば日本の法律に準拠し相続手続きを行うことになります。
※被相続人が日本国籍を有していても、被相続人の不動産が「相続分割主義」を採用する外国に所在していれば、不動産の相続についてはその不動産所在地の準拠法が適用されるなど、財産の種類や財産所在地により適用法が異なる場合がございます。
日本に住む外国人の納税義務
相続開始時に日本国内に住所を有する相続人はもちろんですが、相続開始時に日本国内に住所を有しなくても、日本国籍を有し、10年以内に国内に住所があった者などは、相続により取得した全ての財産に相続税が課されます。※詳細な区分は下記URLをご参照下さい。
◇納税義務者の範囲
◇相続人が外国に居住しているとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/01.htm
煩雑な手続き
例えば、日本の相続手続きでは、相続人の戸籍謄本が必要となりますが、外国籍の方の相続人について、日本の戸籍がない為、本国の戸籍を用意頂きますが、戸籍がない国であれば、出生証明書や婚姻証明書、宣誓供述書など相続関係を証明する書類などを準備する必要がございます。また相続手続き時にはこれらの日本語訳を添付する必要がございます。
相続開始前に専門家へご相談下さい
上記の通り、国境を越えた相続手続きは、日本・本国の適法や、被相続人と相続人の相関関係、日本国内での過去の居住状況等により大きく取り扱い・手続きが異なります。将来の相続発生に不安がある場合や、備えを検討する場合、お早目にお近くの専門家へご相談下さい。