「相続人がいない財産」について

1. はじめに

亡くなった人が残した財産のうち、相続人がいない財産については一定の手続きの後、国庫に納められることになります。

NHKの取材によりますと、2022年度の相続人がいない財産で国庫に納められた財産は768億円にものぼります。これは記録がある2013年度(336億円)から倍以上の金額となっております。

※NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231224/k10014298341000.html

2. 相続人がいない場合とは(相続人不存在)

相続人がいない場合を相続人不存在といい、下記が主な相続人不存在の状況となります。

2-1. 法定相続人がいない

法定相続人がいない場合には相続人不存在となります。

法定相続人は民法で定められた相続人となり、主に配偶者、子、親、兄弟姉妹になります。

2-2. 相続人の全員が相続放棄

法定相続人がいる場合であっても、その相続人の全員が相続放棄をした場合には相続人不存在となります。

相続する財産より借金などの債務が多い場合や、長年疎遠になっていたため今更財産はいらないなど、相続放棄でも様々な動機があります。

3. 相続財産清算人

相続人不存在の場合には、「相続財産清算人」が亡くなった方の財産を管理します。

相続財産清算人は、亡くなった方に対して債権を有している債権者、特別縁故者などの利害関係者や検察官が家庭裁判所に申し立てて、選任してもらいます。

相続財産清算人は、相続財産を清算するのに最も適任と認められる人が選ばれ、弁護士、司法書士等の専門職が選ばれることが多いとされています。

4.相続財産清算人の選任後

①相続人を捜すための公告

→相続人を捜すための公告を6か月以上の期間定めて行います。この公告の期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。

②債権申立ての公告

→①の公告があったときは、相続清算人は、債権申立ての公告を2か月以上の期間を定めて行います。相続財産の債権者や財産をもらうことになっていた人(受遺者)を確認するために行います。

③特別縁故者に対する財産分与の申立て

→①の公告の期間満了後、3か月以内に特別縁故者が家庭裁判所に申立てをし、認められれば財産分与がなされます。

④財産の精算

→相続財産清算人は、法律にしたがい債権者や受遺者へ支払いをしたり、特別縁故者に相続財産を分与するための手続きをします。相続財産が残った場合は、相続財産は国庫に納められることになります。

5.特別縁故者

5-1.特別縁故者とは

特別縁故者として認められる可能性があるのは、以下のような人です。

・被相続人と生計を同じくしていた者

・被相続人の療養看護に努めた者

・その他、被相続人と特別の縁故があった者

5-2.特別縁故者が財産分与を受けた場合

特別縁故者が財産の分与を受けた場合には、その財産を被相続人から「遺贈」によって取得したものとみなされます。

そのため、基礎控除額の3,000万円を超えると相続税の申告・納付の手続きが必要になります。

6.おわりに

相続人がいない場合の制度についてご紹介いたしました。

受遺者及び特別縁故者が財産をもらうことになった場合には、相続税の対象となり、基礎控除額を超えると相続税の申告・納付の手続きが必要になるほか、相続税が2割増しとなります。

弊社では相続税や贈与税についてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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