【相続税のキホン】相続税の控除

相続税には各種控除があります。

控除を知っている場合と、知らない場合とでは、納める税額も大きく異なってしまう可能性があるため、相続税の控除についてはぜひ知っておきたいところです。

そこで、ここではその相続税の控除についてなるべく簡潔に説明していきます。

1. 相続税額の計算過程

すでに他のページでも取り上げておりますが、相続税の計算過程についておさらいします。

  1. 財産の相続評価を行い、遺産総額を算出する
  2. 遺産総額から基礎控除を差し引く
  3. 各相続人の相続税額を算出する

相続税の算出は主に上記の手順で行われますが、税額控除は主に③のタイミングで行われます。

2.相続税の税額控除

相続税の税額控除には、次の6種類があります。

配偶者控除

他のページでも紹介しましたが、配偶者控除は、配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、「1億6,000万円」or「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか大きい金額までは、配偶者に相続税はかからないという制度です。

この制度は、財産は夫婦の協力のもと築き上げられるという観点から、財産の蓄積に配偶者が貢献したという事実を考慮し、また、残された配偶者の今後の生活に配慮するという観点から設けられています。

なお、この制度は配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっているため、申告期限までに分割されていない財産はこの制度の対象にはなりません(※)。

(※)ただし、申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、この制度の対象となります。

また、申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4カ月以内に分割されたときもこの制度の対象となります。

この辺りは、少々複雑ですので、詳しくは専門家にご相談することをお勧めいたします。

未成年者控除

相続人が未成年者である場合、その未成年者の相続税額から一定の金額を控除できる制度のことをいいます。

この制度は、親の死後、未成年者が成年になるまでの期間の養育費等を考慮して、設けられています。

控除額は、「(18歳-相続時の年齢)×10万円」で算出されますが、民法改正以前の2022年3月31日以前の相続については、上記が「18歳」が「20歳」となりますので、計算の際には注意が必要です。

また、相続時の年齢の1年未満の端数は切り捨てとなるため、例えば、16歳6か月の未成年者が相続する場合には、(18歳-2歳)×10万円=20万円が控除されることになります。

障害者控除

死亡日現在、相続人が85歳未満の障害者である場合に受けられる控除のことをいいます。

この制度は、障害者が健常者に比べ、生活費および医療費等の負担が大きくなるという事情に考慮して設けられています。

また、受けけられる控除は、次のようになっています。

  • 一般障害者:(その障害者が85歳になるまでの年数)×10万円
  • 特別障害者:(その障害者が85歳になるまでの年数)×20万円

なお、一般障害者、特別障害者の判断に関しては、下記の国税庁HPよりご確認をお願いいたします。

【国税庁HP】https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/08.htm

相次相続控除

相続発生後、10年以内に相続が発生した場合に一定の金額を控除することができる制度のことをいいます。

これは、短期間のうちに相続が相次いで発生した場合には、相続人の税負担が大きくなり、また、そうでない者(短期間のうちに相続が発生していない者)との間に著しい不均衡が生じてしまうため、調整を図る意味で設けられています。

相次相続については、計算式がやや複雑であるため、詳細は専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

贈与税額控除

亡くなる前3年以内の贈与について贈与税を支払っていた場合に、その支払った分を前払いとして相続税から差し引ける控除のことをいいます。

相続税では計算上、亡くなる3年前以内の贈与を相続税の課税価格に加算することになっています(これを「生前贈与加算」といいます)。

贈与を行った際に、支払った贈与税を2重で支払うことを防ぐために、この控除が設けられています。

外国税額控除

故人の財産が国外にあり、その財産に対し、国外で相続税が課されたときに、一定額を控除できる制度のことをいいます。

これは、国内、国外の相続税の二重課税を排除する目的で設けられています。

「外国で納めた相続税」に相当する税額と「国内の相続税額×国外財産の金額÷相続財産の総額」のいずれか少ない金額を相続税から控除することができます。

3. まとめ

その他にも、相続税の計算の際には、基礎控除や死亡保険・死亡退職金、借入金、葬儀費用等が控除できるものとして挙げられます。

これらの控除も含めて、相続税の各種控除を知らずに申告・納付をしてしまうことは非常にもったいないため、一度、専門家にご相談することをお勧めいたします。

弊社におきましても、節税対策等含め、相続に関することなら幅広く相談を承っておりますので、まずはお気軽にご相談いただけますと幸いです。

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