遺言書が無い場合、何らかの理由で遺言書の内容どおりに相続をしない時には、相続人全員が遺産分割協議で合意することによって遺産分割の内容を決定します。
しかし、話し合いに応じない相続人や受遺者(相続人以外で遺言などによって遺産を受け取る者)がいる場合は一体どうすれば良いのでしょうか?
この記事では、相続で話し合いに応じない者がいる場合の対処法3つと専門家への相談ついて解説していきます。相続トラブルでお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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なぜ話し合いに応じないのか
相続人が話し合いに応じないのは、①被相続人(亡くなった方)や他の相続人と疎遠または不仲であり相続に関わりたくない、②忙しく連絡しても見ていない、③被相続人の財産を使い込んだ、隠している、④被相続人・相続人と遺恨があり故意に話し合いをしないなどの理由が考えられます。
①の場合は書面でやり取りする、相続放棄をしてもらうといった方法があり、②は内容証明郵便を送ることで相手が気づく可能性があります。
③と④はトラブルが長期化しやすいケースと言えるでしょう。
相続で、話し合いに応じない者がいる場合の対処法3つを解説
1.共通の知り合いを通して説得する、手紙などで呼びかける
まずは話し合いに応じない相続人に対して、話し合いをするように説得してみましょう。
例えば、手紙を送り書面でやり取りするように呼びかける、共通の知り合いを通して説得するなどの方法があります。
相手には以下の3点を伝えておきましょう。
- 相続人全員が合意しないと遺産分割協議が成立しないことを伝える
- 話し合いの参加が難しい場合は、書面でのやり取りも提案する
- 折り返しの連絡の期限を記載する
相手と疎遠である場合、共通の知人を通して呼びかけることで遺産分割協議に参加するかもしれません。郵便は、どのような内容の郵送物が証明できる内容証明郵便(一般書留) を利用すると良いでしょう。
2.遺産分割協議調停・審判を申し立てる
相続人同士で話し合いができないまたは話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てることができます。
申し立てに必要な費用は、被相続人(亡くなった方)1人につき収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です。
相手が遺産分割協議調停にも来なかった場合、調停は不成立となりますが裁判官が審判をすることにより遺産分割の方法が決定します。
3.専門家に相談する
弁護士などの専門家に相談する方法です。
弁護士費用がかかりますので、まずは役所の無料相談を活用するのも良いでしょう。
なお相続税・贈与税に関する相談は税理士が担当となります。
遺産分割協議調停を申し立てるなら、弁護士に相談すべき?
遺産分割協議調停・審判を申し立てる際に、弁護士に相談すべきかお悩みになる方もいらっしゃるでしょう。
今回は「相手が話し合いに応じない」ケースですので、相手が嫌がらせで話し合いをしない場合を除き弁護士が不在でも遺産分割協議調停・審判で遺産分割が決定する可能性があります。
相手の目的が「嫌がらせ」である場合は、調停もこじれることが予測されますので弁護士への相談も検討してみましょう。
まとめ
話し合いに応じない相続人・受遺者がいる場合は、上記の方法を検討しましょう。
相続税・贈与税について疑問や不安がある方は、税理士に相談することをおすすめします。

監修 玉城 慎之介
税理士/沖縄税理士会/税理士登録2017年/登録番号135867
琉球大学大学院を卒業後、STC国際税務会計事務所へ入社。
その後、STC国際税理士法人を設立。現在はSTCグループの代表として、相続案件のみならず上場企業の国際税務コンサルティング、連結納税から中小企業まで幅広い業態の税務業務、起業支援等に注力。