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還付が発生する場合
相続税の還付が発生する主な要因は2つです。
未分割で申告を行った場合
申告期限までに遺産分割がまとまらず未分割の状態で申告をし、遺産分割が完了した段階で再度の申告を行った場合です。
この場合未分割での申告は、法定相続分で分割がなされたとみなして申告・納税を行います。
後日遺産分割がまとまった後に再度の申告を行う必要がありますが、実際の分割割合が法定相続分と異なった場合、法定相続分よりも少ない割合を相続した相続人は通常納めすぎた税金について還付を受けることになります。
また、未分割での申告の場合には小規模宅地の特例を適用することができません。
この場合には特例適用前の評価額にて申告を行いますが、無事3年以内に分割が確定し、小規模宅地の特例が適用できる不動産の場合には評価額を減額して申告を行うことが可能となります。
小規模宅地の特例を適用した場合には財産総額が大きく減額し、納めすぎた税金について還付を受けられる可能性があります。
誤って過大に申告してしまった場合
相続税の申告は税理士業務の中でも特に専門性が高い分野で、すべての税理士が対応できる業務ではありません。
そのため、経験の乏しい税理士が相続税の申告業務を行った場合、各財産の評価額が適切ではないことがあります。
過少に評価していた場合には税務署から指摘されるリスクが高くなると共に、過大に評価している場合には無駄な税金を支払っていることになります。
この場合、税務署から評価が過大なので修正するように連絡がくることはありません。
つまり、過大に税金を支払っていることを気付かずに損をしてしまいます。
相続税が高いと感じたら、相続税の経験豊富な税理士にセカンドオピニオンを求めることをお勧めいたします。
還付が発生する場合の手続き
還付の伴う申告書の修正提出を「更正の請求」といいます。
「更正の請求」は当初申告の誤った部分のみを修正して申告書を再提出する手続きです。
申告後、数週間~数カ月の間に払いすぎた税金分が指定の銀行口座に振り込まれます。
ただし、一度納めされた税金を税務署は手放しに還付するわけではまりません。
還付の場合にはある程度の内容確認を行った上で還付となるため、税務調査のリスクが多少高くなることも考えられます。
そうならないために、一度で申告が完了し「更正の請求」を提出する必要がないことが望ましいこととなります。
還付の期限
相続税の更正の請求には期限があります。
その期限は相続税の申告期限から5年となります。
相続税の申告期限は相続開始から10か月ですので、相続発生から起算すると還付の請求期限は5年10か月となります。
相続が始まってから5年ではありませんので、ご注意下さい。
ただし、これには例外があり、特別な事情が生じた場合は5年10か月を過ぎても更正の請求を行うことができます。
その特別な事情としては以下のようなケースが挙げられます。
- 未分割の財産が分割された場合
- 認知、廃除などによる相続人の異動があった場合
- 遺留分侵害額の請求による返還があった場合
- 未分割の財産が分割されたことにより軽減措置や特例が適用される場合
- 遺贈に関わる遺言書の発見、遺贈の放棄があった場合
上記のようにやむを得ない事情で財産及び税額に変更があった場合には5年10か月を過ぎても更正の請求を行うことができます。