【相続税のキホン】株式の相続と生前対策

株式の種類には大きく分けて上場株式と未上場株式の2種類があります。

上場株式の場合にはいくつかの選択肢はあるものの、基本的には時価評価となるため生前の対策は難しいです。

また、未上場株式でも完全に部外者で意思決定に関与できない場合には同様に生前の対策は難しくなります。

ここでは、ご自身や親族の会社の株式で、意思決定に関与できる場合の生前対策を紹介していきます。

事業承継税制の活用

事業承継税制とは、後継者が中小企業の株式を相続や生前贈与で引き継いだときに、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。

その猶予された税金は、将来的に免除されることを想定し、平成30年度税制改正において、中小企業の事業承継をより一層後押しするために事業承継税制が大きく改正されました。

大きな改正となりましたが、令和9年までの時限措置となっています。納税猶予は一定要件を満たすことが必要で、満たせなかった場合には全額納付となります。

こちらの事業承継税制を活用することで生前対策として活用できる場合があります。

株式の生前贈与

生前贈与によって株式を贈与しておくことは有効かつ簡単な対策の1つです。

株式は分割での贈与が可能なため、110万円の暦年贈与の枠を活用し生前贈与を行うことが可能となります。

また、今後の株価の大幅な増加が見込まれる場合には相続時精算課税も選択することも考えられます。

配当金を減らすことで株価を下げる

同族株主以外の株主及び同族株主であっても持株数が少ない株主が取得した株式については、配当還元方式で評価をします。

この評価方法は、その株式の1株当たりの資本金の額と、その株式の直前期末以前2年間の年配当金額を基として計算をするものです。

そのため配当金を下げることで株価評価を下がることが可能になります。

配当金額のうち、特別配当、記念配当など非経常的なものは除き、経常的な配当のみが対象となります。

会社規模の変更による評価方法の変更

未上場株式の原則的評価方法は、会社の規模などによって類似業種比準方式、純資産価額方式とその両方の併用方式があります。

類似業種比準方式が使える割合が多い会社区分は、小会社よりも中会社、中会社よりも大会社のため、会社区分をより大きく変更すると有利といわれています。

これは一般的には、純資産価額より類似業種比準価額の方が株かが低く評価される場合が多いためです。

会社区分を変更するための具体的な方法で最も簡単なものは増資をすることです。

また、従業員数基準を満たすことも必要となるため併せて変更を検討する場合には事前に確認が必要となります。

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