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配偶者居住権はご存じでしょうか?

2023-09-22

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、夫婦のどちらかが亡くなった場合に、亡くなった方が所有していた建物を残された配偶者が亡くなるまで又は一定の期間、無償で住むことができる権利です。

この権利により、建物を相続する際に建物の所有権と居住権をわけて相続することができるようになりました。

配偶者居住権の要件

配偶者居住権が成立するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 配偶者が被相続人(亡くなった方)の財産である建物に相続開始の時に居住していたこと
  • ①遺産分割、②遺贈、③死因贈与、④家庭裁判所の審判、のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと
  • 被相続人が相続開始の時において居住建物を配偶者以外の者と共有していないこと
  • 配偶者が被相続人の法律上の配偶者であること

配偶者居住権のメリット、デメリット

メリット

  • 建物の所有権と居住権をわけて相続することができるため、相続できる資産のバリエーションが増える。
  • 配偶者が亡くなった場合の、建物の2次相続の心配がいらなくなる。
  • 配偶者居住権は譲渡することはできないが、所有者の承諾を得れば第三者へ賃貸させることができる。

デメリット

  • 配偶者は、建物の通常の必要費(固定資産税や通常の修繕費等)を負担する必要がある。
  • 不動産の譲渡・売却をすることができない。
  • 2次相続まで考えた場合、税負担が増える可能性がある。

最後に

配偶者居住権は残された配偶者の生活への配慮等の観点からできた制度になりますが、配偶者居住権を設定することが一概に良い選択とは限りません。

相続人にとって良い選択をすることができるには、さまざまな観点から検討する必要ございます。

活用する?放棄する?売却する?「相続土地国庫帰属制度」を理解して、不要な土地の相続に備えましょう。

2023-09-08

 前回のコラムでは、「相続登記の申請義務化」をご紹介しました。こちらの制度は、所有者不明土地等の発生予防を目的として、相続により不動産を取得した相続人は、相続登記の申請をしなければならない、というものでした。(詳しくは前回コラムをご参照下さい。)

 所有者不明土地問題を解消すべく、法務省は別途、「相続土地国庫帰属制度」を創設し、相続により取得した土地を国に帰属させることを可能とする制度を施行しております。

相続土地国庫帰属制度について

 相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡すことができる制度です(令和5年4月27日施行)。

 この制度の目的は、「相続した土地が遠い田舎の土地で今後の活用予定がない」「処分できずにいるが管理コストが大きく困っている」といった不要な相続した土地について、国庫に帰属させ、国が管理・処分することとし、所有者不明土地の発生予防を図っております。

「相続放棄」との違い

 不要な土地を相続したくない場合、「相続放棄」により相続した土地を放棄することができます。しかし、相続放棄を選択すると、被相続人の権利義務を一切受け継がない為、その他の必要財産等も全て放棄することとなります。

 相続土地国庫帰属制度では、相続又は遺贈により宅地等の土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に帰属させることができるため、不要な土地のみを処分する手段として、新たに選択することが可能となりました。

 ※なお当制度は、制度開始前の令和5年4月27日より前に相続した土地でも申請可能となります。

申請可能な一定の要件とは

 当制度ですが、全ての土地を国に帰属させることはできず、「法令で定める引き取ることができない土地」に該当しない土地である必要がございます。(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律【令和3年法律第25号】)

〇申請をすることができない相続した土地

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益件が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染がされている土地
  • 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

〇承認を受けることができない相続した土地

  • 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  • 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  • 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
  • 隣接する土地の所有者等との訴訟によらなければ管理・処分ができない土地
  • その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

審査手数料と負担金

 当然ながら申請には費用が発生し、審査手数料として、土地一筆当たり14,000円と、審査手数料に相当する額の収入印紙代をご負担いただきます。

 そして、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出された、10年分の土地管理費用として負担金をお支払いすることになります。負担金は、「宅地」「農地」「森林」「その他」の区分に応じ決定され、宅地の場合、原則一筆当たり20万円となります(地域、面積などにより変動あり)。

不要な土地の相続前に、処分の手段を検討しましょう

 相続土地国庫帰属制度について、実質的にハードルが高いように感じます。当制度の申請が可能な土地は、活用手段も幅広く、買い手が見つかる可能性が高いため、本当に不要であれば、売却による処分を選択されることが多いのではないでしょうか。しかしながら、不要な相続した土地の処分手段の拡充として今後の制度運用に期待したいです。

 相続の対象で不要となる土地がある場合、相続後の売却や相続土地国庫帰属制度の活用、相続放棄などさまざまな処分手段がございます。その土地の価値や権利関係をよく確認し、その状況に合わせた手続きを検討されてはいかがでしょうか。

〇法務省HP

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html#mokuji6

〇ご案内パンフレット

https://www.moj.go.jp/content/001390195.pdf

いつから開始?相続登記の申請義務化へ

2023-09-01

相続登記とは

遺産分割協議、申告書の提出等も終わり、相続の手続きはすべて終わったと思っている方もいるのではないのでしょうか?                                            

しかし、相続により取得した土地や建物といった不動産については、その所有者が誰のものか明らかにしなければなりません。そのため、これらの不動産について法務局に申請し、不動産登記簿の名義を変更する必要があります。この手続のことを「相続登記」といいます。

これまで相続登記に関しては任意での申請とされていましたが、相続登記がされていない所有者不明の土地が全国で増加したことから、その問題解決のために令和3年に法改正がなされ、相続登記が義務化されることになりました。

【法務省 HP 「相続登記の申請」はじめの一歩! 参照】https://www.moj.go.jp/content/001397792.pdf

相続登記の義務化はいつから開始?

法改正により、相続人が土地や建物といった不動産を取得したことを知った日から「3年以内」に、相続登記をしなければいけないことになりました。そして、この制度は「令和6年4月1日」から開始されます。

ただし、令和6年4月1日より前に相続した不動産についても、相続登記がされていなければ、申請義務の対象になるため注意が必要となります。

【法務省 HP備えて安心!令和6年4月1日から相続登記が義務化されます!参照】  https://www.moj.go.jp/content/001397793.pdf

相続登記をしなかった場合、ペナルティ(罰則)はある?

結論から申し上げますと、罰則はあります。                          具体的には、正当な理由(※)がなく、相続登記をしなかった場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。

なお、早期の遺産分割が難しい場合には、「相続人申告登記」という簡便な手続きを行うことにより相続登記の義務を果たすことも可能です。

※「正当な理由」とは主に次のようなものが挙げられます。                   (1)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース                                          (2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース                      (3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース                                       

いずれにせよ令和6年4月1日より相続登記は義務化されるため、現在、相続が発生している方や、今後、相続が発生しそうな方は今のうちから相続登記の義務化に備えておく必要があるといえるでしょう。

マイホームの購入・改築予定者必見!相続時精算課税制度の特例

2023-08-25

最大で3,500万円の非課税枠が利用可能!

マイホームの購入や改築にあたり、両親や祖父母などから資金援助を受ける方も多いのではないでしょうか?過去のコラムで紹介した「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度」と「相続時精算課税制度」をダブルで利用することで最大3,500万円の贈与税の非課税の適用を受けることが可能です。

相続時精算課税制度の特例は令和5年で終了!?

相続時精算課税制度は基本的には、60歳以上の両親や祖父母である贈与者でないと適用を受けられません。しかし、特例として、令和5年12月31日までの間に行う贈与で、マイホームの購入や改築のための金銭の贈与であれば、60歳未満の贈与者でも適用が受けることが出来ます。また、この特例制度は延長される可能性は低く、令和6年以降は適用が出来なくなる可能性があります。

注意しなければならない点

①相続時精算課税制度は撤回できない

現行法では、例えば父から相続時精算課税制度に基づく贈与を受けた場合には、今後二度と暦年贈与を選択することができない制度となっています。

②贈与者の相続税の際に持ち戻して相続税を計算する

相続時精算課税制度は文字通り、相続の際に精算します。よって、贈与者が死亡した場合には、既に贈与した財産でも持ち戻して相続税の計算をします。決して贈与税がかからず節税になるというわけではなく、あくまで税金を先送りしているということに注意しなければなりません。

③相続時精算課税制度選択届出書の提出が必要

最大2,500万円の非課税を受けられる相続時精算課税制度ですが、この制度は贈与税の申告期限内に必ず「相続時精算課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。提出がもれてしまうと暦年贈与となってしまい本来かからなかった税金が発生してしまう恐れがあり、注意が必要です。

法人だけじゃない!個人版事業承継税制

2023-08-18

個人版事業承継税制とは

前回のコラムでは「法人版事業承継税制」について紹介しましたが、法人だけが優遇されているわけではありません。
もちろん、「個人版事業承継税制」もあります。

「個人版事業承継税制」は、令和元年度税制改正において創設された制度で、個人事業の後継者が特定事業用資産を贈与又は相続等により取得した場合に、一定の要件を満たすことで、①その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の納税を猶予し、②後継者の死亡等により、猶予されている贈与税・相続税の納税が免除される制度です。

基本的な考え方は法人版(特例措置)と同じですが、異なる部分もあります。

個人版法人版(特例措置)
事前の計画策定個人事業承継計画の提出
(令和6年3月31日まで)
特例承継計画の提出
(提出期限は個人版と同様)
適用期限次の期間の贈与・相続等
(平成31年1月1日から令和10年12月31日まで)
次の期間の贈与・相続等
(平成30年1月1日から令和9年12月31日まで)
対象資産特定事業用資産(※)非上場株式等
雇用確保要件なしあり
※特定事業用資産とは、先代事業者(贈与者・被相続人)の事業の用に供されていた次の資産で、贈与又は相続等の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていたものをいいます。
①宅地等(400㎡まで)
②建物(床面積800㎡まで)
③減価償却資産で一定のもの

小規模宅地等の特例との関係性

先代事業者等(被相続人)が死亡し、相続税申告の際に小規模宅地等の特例を適用する場合には、個人版事業承継税制の適用については制限を受ける場合があります。

適用を受ける小規模宅地等の区分個人版事業承継税制の適用
特定事業用宅地等不可
特定同族会社事業用宅地等可(ただし、一定の計算式による限度面積あり)
貸付事業用宅地等可(ただし、一定の計算式による限度面積あり)
特定居住用宅地等可(制限なし)

個人版事業承継税制は、特定事業用資産に係る相続税・贈与税が猶予・免除されるとてもお得な制度です。ただし、後継者以外の相続人に対しては恩恵がありません(小規模宅地等の特例については宅地等の評価額が下がるため相続人全員の相続税額が安くなる)。
個人版事業承継税制の適用をする際には、「争続」になってしまわないよう事前に相続人全員の理解を得ることをおすすめします。

※国税庁パンフレット【国税庁 HP 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-133_04.pdf

期限迫る!法人版事業承継税制の特例措置

2023-08-10

法人版事業承継税制とは

法人版事業承継税制とは、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を、後継者である受贈者・相続人等が贈与又は相続等により取得した場合において、一定の要件のもと、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度になります。 元々、平成21年度税制改正により導入されており、平成30年1月から10年間の措置として従来の制度を抜本拡充した特例措置が設けられております。

一般措置と特例措置

法人版事業税制には、一般措置と特例措置があります。特例措置を受けるためには一定の要件を満たす必要がありますが、一般措置と比較して優遇された内容となっております。

 特例措置一般措置
事前の計画策定等特例承継計画の提出 (令和6年3月31日まで)不要
適用期限次の期間の贈与・相続等 (平成30年1月1日から  令和9年12月31日まで)なし
対象株式全株式総株式の最大3分の2まで
納税猶予割合100%贈与:100% 
相続:80%
承継パターン複数の株主から最大3人の後継者複数の株主から1人の後継者
雇用確保要件一般措置から弾力化承継後5年間 平均8割の雇用維持
一定の事由が生じた場合の免除ありなし

特例措置を受けるための特例承継計画の提出期限迫る

法人版事業承継税制をうまく活用することができれば贈与税・相続税が免除されることになりますので、今後事業承継を考えている方はぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。 また、上記の比較表に記載のある通り、比較的有利な特例措置を受けるために必要な「特例承継計画」の提出期限が令和6年3月31日と迫っております。特例承継計画の提出をしたからといって贈与・相続する必要はございませんので、迷われている方はとりあえず特例承継計画の提出をしておくと良いと思います。

※国税庁パンフレット【国税庁 HP 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-133_01.pdf

相続時精算課税制度の改正点を理解して、相続対策の見直しを検討しませんか?

2023-08-04

 前回のコラムでは、令和5年度税制改正における暦年贈与制度の変更点「加算対象期間の見直し」についてご説明させて頂きましたが、「相続時精算課税制度」にも変更が加えられましたので併せて確認したいと思います。

①相続時精算課税制度に基礎控除の創設

②相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の創設

 上記改正点について解説します。国税庁解説パンフレットを併せてご確認下さい。

※国税庁解説パンフレット【国税庁 HP 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

なお、暦年贈与の制度変更については、前回コラムをご参照下さい。

相続時精算課税制度について

 相続時精算課税制度は、父母や祖父母から子や孫に対して贈与を行った場合に選択できる制度です。改正前の制度では、贈与財産の累計が2500万円(特別控除)までは贈与税がかからず、累計が2500万円を超えた場合、超えた部分に対して一律20%の贈与税が発生しました。

 この時、いったん相続時精算課税制度を選択した場合、特定贈与者(相続時精算課税選択届出書に係る贈与者)からの贈与について、暦年贈与での贈与ができずに相続時精算課税制度での贈与しかできず、特定贈与者から贈与された財産について、その金額の多寡にかかわらず、全て贈与税の申告をしなければなりませんでした。

①相続時精算課税制度に基礎控除が創設

 令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度に基礎控除が新設されました。こちらの基礎控除は、暦年贈与の基礎控除のように、年間110万円までの贈与財産は、相続財産に加算されないこととなっております。また特定贈与者からの贈与により取得した財産の価額は、こちらの基礎控除をした後の価額となります。

②相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の創設

 同じく令和5年度税制改正により、相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例が新設されました。改正前は、相続時精算課税制度を利用して土地又は建物を贈与した場合、財産の評価額は贈与時の時価で評価することとされていましたが、改正後、その贈与の日からその特定贈与者の相続税申告書提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、その被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とすることとなりました。

手続きの簡素化

 これまでは、相続時精算課税制度の適用初年度に、「贈与税申告書」と「相続時精算課税選択届出書」を税務署へ提出しておりましたが、毎年110万円以下の贈与であれば、相続時精算課税選択届出書のみを提出することになります。

 さらに、2年目以降はその年の贈与金額が110万円を超える場合は贈与税申告書を提出する必要がありますが、110万円以下となる場合には贈与税申告書の提出は不要になります。

※前回コラム【生前贈与が不利になる?加算対象期間の見直しへ】

生前贈与が不利になる?加算対象期間の見直しへ

2023-07-28

生前贈与の加算対象期間とは

生前に贈与がすべて済んだから相続税はかからないと思っている方も多いのではないでしょうか?                                            

しかし、相続税の現行の制度では、生前に行われた贈与の内、亡くなる前3年以内の贈与については相続税の対象に含めることとしているのです。この期間がいわゆる生前贈与の「加算対象期間」です。                              

例えば、仮にご自身の余命があと3年と宣告された場合(3年後に亡くなるということを前提)、相続財産を残さないために、亡くなる3年前から焦って財産を贈与したとしても、その贈与分については残された遺族の相続税の対象になるのです。                                  

生前贈与の課税対象期間が3年→7年に…!

これまで暦年課税により亡くなる前3年以内の贈与は相続税の対象とされていましたが、令和5年度の改正により令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産については、上記3年以内から「7年以内」に変更されることになりました。

これまでは亡くなる前3年以内の贈与が相続税の対象であったため、贈与を「まだ先のことだから」と先送りにしても問題ないと考える方も多かったかもしれません。しかし、改正によりこれが7年となると、早めに資産を移転しないと課税対象に含められる可能性が生じるのです。                                  

【国税庁 HP 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし P4参照】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

相続時精算課税制度とどちらが良い?

上記国税庁HPの1~3ページにありますように、今回は「相続時精算課税制度」についても改正が行われることになりました。 

そのため、「暦年課税による生前贈与」ではなく、これまで選択する人があまりいなかったともいわれているこの制度を選択する人が増えるのではないかと巷ではささやかれています。

次回のコラムでは、その「相続時精算課税制度」についても触れていきたいと思います。     

今回は延長なし?期限が迫る“直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度”

2023-07-21

非課税枠が年々縮小傾向にある本制度

平成21年に租税特別措置法によって「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度」が創設されました。平成27年度に大幅な改正が行われた後、見直しや改正が行われ、期限や非課税枠は下記の表のとおりとなっています。

現行法は、令和4年3月に財務省が公表した令和4年度税制改正によるもので、省エネ等住宅では1,000万円、それ以外のその他の住宅では500万円が非課税となります。

タイムリミットは令和5年12月31日までの贈与

この非課税制度は、令和5年12月31日をもって終了となります。

巷では、期限がある税制については延長がされるのではないかなどと憶測が飛び交っていますが、23年7月時点で立法府からの言及はありません。このままの場合、令和5年12月31日をもって終了となります。仮に期限延長されたとしても、近年の傾向では非課税額が減額される可能性もあります。

贈与を受けたら税務署に申告が必要!

「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度」を適用する場合には、申告期限内に贈与税の申告を行う必要があります。たとえ納付税額が0円でも、この非課税制度を適用するには期限内申告が必要です。

令和5年中の贈与の場合、翌年の令和6年2月1日から令和6年3月15日までに申告が必要となります。贈与税の申告していない場合には非課税の適用が受けられず、通常の贈与税を支払う必要があることに加え、無申告加算税や延滞税といった余計な税金も発生する可能性があるのでご注意下さい。

まだ間に合う!タワマン節税改正の抜け道

2023-07-14

国税庁 マンション評価方法の見直し案示す

第3回「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」によりマンションの評価方法の見直し案が示されました。
評価方法の見直しが決定となった場合、市場価格と相続税評価額の乖離に着目した相続税対策、いわゆる「タワマン節税」が使えなくなります。

これにより現在は実勢価格の4割程度にとどまっている評価額が6割以上に引き上げられる結果となり、高層階ほど影響が大きくなります。

【国税庁HP マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議 第3回有識者会議 資料】
https://www.nta.go.jp/about/council/idenshi/20230622/shiryo.pdf

マンション評価方法の見直しで損をしないために

実はタワマン節税を使用する方法が現時点ではまだ残されています。
どのような方法だと思いますか?

答えは、「令和5年中にマンションを相続人に渡す」です。

評価方法の見直し案は国税庁の資料によると「令和6年1月1日以後の相続等又は贈与により取得した財産に適用する。」予定になっています。
しかし、「令和5年中に相続を発生させてください!!」というわけにもいきません。
そのため、贈与をするという方法で同じ効果を得ることができます。

通常の贈与では贈与税が高額になります。そこで、相続時精算課税制度を使用して贈与を行います。評価額が2,500万円以下であれば贈与税はかかりません。2,500万円を超えた部分については20%の贈与税がかかりますが、これは相続税の前払いの性格になります。
贈与したマンションは相続税の計算時に相続財産として加算されますが、この時の評価額は「贈与時」の評価額になります。

これにより、将来の相続税の申告にもタワマン節税が活用できる、ということになります。

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