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基礎控除額とは
相続税は、被相続人が残した財産に対して課せられますが、その財産を取得した相続人が今後の生活に困ることのないようにといった生活保障の理由から、相続税法では「基礎控除」を設けています。
よって、相続や遺贈によって財産を取得した場合であっても、被相続人の財産額が基礎控除の範囲内である場合は申告が不要になります。
相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)によって算出されます。
例えば、相続人が妻、長男、長女3人の場合の基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となります。
したがって、この場合、相続や遺贈によって取得した財産の価額の合計額が4,800万円以下の場合は申告が不要になります。
①相続税が0円でも申告が必要な場合
相続税の計算を行って、申告する税額が0円となっている場合でも申告が必要なケースがあります。
それは、「配偶者の税額軽減」の適用を受けて税額が0円となる場合・「小規模宅地等の特例」の適用を受けて税額が0円となる場合・「国や地方公共団体への寄付」によって税額が0円となる場合です。
これらは、納税者が相続税の申告書を提出しないと適用は受けることができません。
税務署側に、上記の特例の利用によって税額が0円となったという事実を示す必要があるためです。
②相続税の還付を受けるための申告
被相続人の死亡前に相続時精算課税の適用を受けて贈与税を支払った者が、今回の被相続人の死亡による相続税額が0円となった場合には相続税の申告書を提出することにより、過去に支払った贈与税の還付を受けることができます。
なお、この申告は相続の開始があった日の翌日から起算して5年を経過する日までと提出できる期間が定められているので速やかに行う必要があります。
③申告書はどこの税務署に提出するのか
被相続人から財産を取得者した者は、その被相続人の住所が日本国にある場合には被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出することになります。
例えば、被相続人の住所が沖縄県那覇市久茂地3-21-1で相続人が3人いた場合には、那覇市久茂地を所轄する税務署長宛に申告書を提出する必要があります。
④相続の放棄をした場合は申告書を提出するのか
被相続人が亡くなった時に財産を取得したくない場合や預貯金などの資産よりも借入金といった負債が多い場合には相続を放棄することがあると思います。
この場合には、相続の開始があったことを知った日の翌月から3月以内に「相続放棄の申述書」を被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。
受理までの間、一定の手続きを踏んだ上で正式に決定されます。
相続を放棄することによって、財産を取得しない場合には基本的には相続税はかからないため申告書の提出も不要になります。
しかし、被相続人の「死亡退職金」や「生命保険金」を受け取った場合には、たとえ相続放棄がされた場合であっても、被相続人の相続財産が基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告書を提出する必要があります。
「死亡退職金」や「生命保険金」はみなし相続財産として相続税の課税対象になるため、相続を放棄していても相続によって取得したとものとされてしまうため、これらの財産がないどうか事前に確認が必要です。