相続争いには、亡くなった方(被相続人)を介護していた方が寄与分を主張する、不動産など分割が難しい相続財産がある、遺言書の内容が不平等または不明瞭で揉めるといった事例が存在します。
相続争いを回避するためには、被相続人に遺言書を書いてもらう、生前に家族で話し合う、専門家に相談するなどの対処法が挙げられます。
今回は相続争いの具体的な事例5つと回避のポイントをお伝えしていきます。
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遺産相続分割事件の数は年々増加傾向
遺産相続におけるトラブル(相続争い)を始めとした家庭裁判所への遺産分割事件の新規受付(新受)件数は、年々増加傾向にあります。
出典:裁判所「家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等」
「相続争い」には、具体的のどのような事例があるのでしょうか?
相続争いの具体的な事例5つ
1.生前、被相続人の介護をしていた者が寄与分を主張する
2.相続財産の中に、不動産など分割が難しいものがある
3.被相続人が再婚しており、前妻と後妻がいる
4.生前贈与を巡ってもめる
5.遺言書の内容が不明瞭、または不平等でトラブルが起こる
1.生前、被相続人の介護をしていた者が寄与分を主張する
民法904条2項に、亡くなった方(被相続人)の事業を手伝っていた、看護や介護をした、財産を給付したなど「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者」は相続財産に寄与分(プラスできる財産)が加えられるという規定があります。
実際に、生前被相続人の看護・介護をした者が寄与分として「多めに遺産が欲しい」と主張し相続人同士でトラブルになる事例は少なくありません。
なお2019年の民法改正 で、被相続人の親族のうち相続人でない人(例:被相続人の子の配偶者)が、被相続人を無償で療養看護するなど被相続人の財産の維持・増加に貢献した場合は寄与分を請求できるようになりました。
2.相続財産の中に、不動産など分割が難しいものがある
不動産や貴金属・絵画などの相続財産は、公平に分割することが難しいでしょう。
特に不動産は、資産価値が低い(または無い)と相続人間で「おしつけ合い」になってしまう事例が多いです。
3.被相続人が再婚しており、前妻と後妻がいる
被相続人が再婚しており、前妻と前妻の間の子ども、後妻と後妻の間の子どもがおり交流が無いまたは不仲のケースでは、相続時にトラブルに発展してしまうことがあります。
4.生前贈与を巡ってもめる
生前贈与を多くもらっていた相続人がいる場合、相続人同士で不公平感が生じ、争いが起きてしまうことがあります。
5.遺言書の内容が不明瞭、または不平等でトラブルが起こる
遺言書の内容がはっきりしない場合は、法的に無効となってしまう可能性が生じます。
また、遺言書に特定の相続人1人に相続させるなど偏った分割内容が書かれていると他の相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害し、調停・裁判に発展してしまう事例があります。
相続争いを回避するための5つのポイント
上記のような相続争いを回避するために、以下5つのポイントをおさえておきましょう。
・被相続人が元気なうちに、家族で話し合う ・被相続人に遺言書を書いてもらう ・遺言書の内容を専門家にチェックしてもらう ・相続人が相続を希望しない財産は、生前に処分してもらう ・トラブルになりそうな場合は、専門家に相談する |
相続争いで家族や親族が不仲にならないために、早めの対処を心がけましょう。